ごくせん映画

夜九時から約二時間半、日本テレビの「金曜ロードショー」では二〇〇九年公開の映画「ごくせん THE MOVIE」が放映されていた。
余り熱心には見なかったので詳しい感想を書くことはできないが、映画化するに適した作品ではなかったろうとは思う。テレヴィドラマとして作られていたならそれなりに楽しめる作品に仕上がり得ていたかもしれないが、映画として作られてしまったばかりに今一つの仕上がりだった。
思うに、二〇〇五年の一月から約三ヶ月間、毎週土曜の夜九時にテレヴィ放映されていたときは、似たような話が毎度のように繰り返されること自体を云わば約束事として受け入れ、楽しみ、待望することさえ可能だったが、二〇〇八年にも四月から約三ヶ月間の土曜ドラマで似たような話が繰り返されたときには、流石に無理が目立っていると見えたし、二時間半の映画にまで同じ遣り方が持ち込まれても、約束事としての規則性が既に希薄化して見失われている以上、待望して付いてゆくのが難しい。
約束事が楽しめるものであるためには、その規則性が盤石で、それでいて自然で、規則性を感じさせない程でなければならないのだろう。規則性が希薄化すれば約束事は成立しないが、規則性が不自然に強調されると無理が出てくるから成立しない。至高の徳は両極の均衡(=中庸)にある。