リバウンド第六話

日本テレビ系。水曜ドラマ「リバウンド」第六話。
大場信子(相武紗季)との交際をやり直したいと思っている風見研作(勝地涼)に対し、大場信子は「研作にとっての幸せって何?」と問いかけた。彼は回答を持ち合わせていなかった。大場信子は彼がこの問いへの答えを持ち合わせていないだろうことを確信した上で敢えて問いかけたのだろう。彼を退けるために他ならない。
大場信子は、自身を愛してくれる風見研作を受け容れるよりも、自身を愛してくれるだけではなく自身も愛している今井太一(速水もこみち)と交際する方が自身にとっての幸せであるはずだと確信していたのだ。だから風見研作を退けるために、敢えて意地悪な質問をしてみたのだ。
この問いかけには意味がない。なぜなら、この「幸せとは何か?」という極めて古めかしい哲学的な問いに対して、回答を持ち合わせていなければ幸せにはなれない…というわけではないだろうし、たとえ何らかの回答を持ち合わせていたとしても幸せであり得るわけでもないだろうからだ。交際を申し込んできた相手に対する問いとして誠実ではない。換言すれば、大場信子は風見研作に対して余りにも誠実ではない。
そのようなわけで、大場信子の親友である三村瞳(栗山千明)の誕生日の夜、三村瞳と今井太一とが、あたかも真に互いを必要とする恋人同士であるかのように、実によい雰囲気で語り合っている現場を、大場信子が偶々物陰から盗み見る破目に陥ってしまったのも自業自得であるとしか思えない。三村瞳は何時でも大場信子の些細な悩み事に付き合ってきたが、大場信子は三村瞳の真剣な悩み事に付き合ったことがないばかりか、そもそも気付きもしなかった。ここでも誠意を欠いていたのだ。
今井太一という名は「イマイチ」に通じ、大場信子という名は「ブーコ」に通じる。そして風見研作という名が「検索」に通じることを、今回、今井太一が気付かせてくれた。確かに風見研作は何時でもどこでもインターネット上で「検索」をして、妥当な、無難な、尤もらしい答えを探し出そうとしている。今井太一はそんな風見研作を憎らしげに「検索野郎」と呼んでいるが、この「検索野郎」という呼び名それ自体に愛嬌があるからか、それとも今井太一の声のゆえか、幸か不幸か今一つ憎らしげには聞こえない。