大倉忠義ヌード写真

大倉忠義ヌード写真集、in雑誌アンアン2011年9月7日号について。
写真は全部で十枚。雑誌内の本文「Secret Time with 大倉忠義」には九枚の写真が載るが、雑誌の表紙に一枚の写真が載るので、全部で十枚。
何れも美麗な写真だろうが、私的に最も高く評価するのは、雑誌の表紙に用いられた写真。強い照明が当てられたのか、肌の白さが強調された結果、ピンク色の唇が際立って艶めかしい。所謂「口角の上がった」愛らしい唇の形をしていることが活かされている。肌の質感や体温までも伝わってきそうな迫真性があることも、官能性を盛り上げる上に効果がある。顔や肩や腕や脚や胸それぞれのフォルムのしなやかな曲線はそれら自体で美しいが、それらをあたかも高密度に交錯させるかのように複雑なポーズを取ったことで、一画面中に像主のあらゆる美点を凝縮してみせたような見応えある画になっている。腕の下に乳輪が見えることも画中の華として活きている。
男らしさの美を構成する要素としては逞しさがあるが、身体における逞しさを太さと厚みによってのみ考えることは大概、致命的な誤りにしかならない。太さと厚みのみを極めた身体があるとすれば、それはもはや極度の肥満でしかないからだ。太さと厚みを際立たせるのはむしろ細さでしかあり得ないことを再認識する必要がある。背中の広さや胸の厚みを雄弁に表現するのは適度に細い腰に他ならないように。
そうした観点から見直してみると、この表紙の写真の大倉忠義は、顔の周辺の華奢なフォルムが腕の柔らかな逞しさを効果的に強調して、しなやかな男らしさを発散している。ゆえに美しい。
これに次いで評価したいのは、本文中の写真九枚中の一枚、シャワーを浴びる後姿の写真。逆光を浴びて浮かび上がる横顔の、特に口元が美しい。大倉忠義の美の過半は口元の艶めかしい形にあるような気がするが、着衣であっても隠れることのないはずのこの美は、着衣のときよりも裸体のときにこそ、本来の威力をよく発揮するのではないかとも思える。

an・an (アン・アン) 2011年 9/7号 [雑誌]