記録映画

オリンピック自体には必ずしも興味があるわけでもないが、映画監督市川崑の作品「長編記録映画　東京オリンピック」（脚本：谷川俊太郎ほか/音楽：黛敏郎/美術監督：亀倉雄策/一九六五年劇場公開）の、旭日から開会式までの冒頭部分は、DVDで何度も見てしまうし、何度見ても面白く、見る度に感動を新たにしないではいられない。
歴史的な行事の記録映画としては、「公式長編記録映画　日本万国博」（監督：谷口千吉/音楽：間宮芳生/一九七一年劇場公開）も見応えのある作品で、同じく何度も見てはその度に楽しんでいるが、「東京オリンピック」に比較するなら余りにも記録的で淡々としていて、それはそれで悪くはないと思える反面、芸術性も添えることを欲したのか、市川崑の表現に似せようとしたような箇所も散見されて、そこが何だか気になってくる。記録映画を作ることの難しさを思わずにはいない。