家政婦のミタ第六話

水曜ドラマ「家政婦のミタ」。第六話。
家政婦の三田灯(松嶋菜々子)が何でも云い付けられた通りに行動し、云われた通りに伝言するのは毎度のことだが、その人間離れした言動の方式には、やはり破壊的とでも形容したくなる面白さがある。
阿須田恵一(長谷川博己)から「子供たちには何も云わなくてよいです」と云われれば、三田灯は彼の子供たち四名に対して、何も云わないのではなく、文字通り「子供たちには何も云わなくてよいです」と云われたことをそのまま伝えて、結局は、子供たちに云えるような考えを彼が持ち合わせていない事実を露呈してしまうし、当の子供たちの内の、阿須田翔(中川大志)や阿須田海斗(綾部守人)からこのことに関して「お姉ちゃんには内緒」と云われれば、彼等の姉である阿須田結(忽那汐里)には、何も云わないのではなく、文字通り「お姉ちゃんには内緒」と云われたことをそのまま伝えて、結局は、内緒の事柄が存在していることを露呈してしまう。云い付けられた通りに行動しているかに見えて明らかに裏目に出てしまっているところが面白い。
いつでもどこでも何事にもそんな調子であるからこそ、突然の「それはあなたが幸せだからです」という三田灯の言には切実な凄みが生じた。もっとも、これは奇妙な描写を無難な物語へ収束させてゆく徴でしかないのかもしれないが、ともかくも、ロボットのように無表情で冷徹で厳正な家政婦の言動の描写を積み重ねてきたことの、この瞬間における効果は大きかった。