水曜ドラマ家政婦のミタ第九話

水曜ドラマ「家政婦のミタ」。第九話。
家政婦の三田灯(松嶋菜々子)は、自身の過去について阿須田家の人々に請われるまま全て明かしたのち、この家に家政婦として仕えることを辞して姿を消した。
驚くべきことに、三田灯は阿須田家の隣の皆川家で働き始めていた。しかるに皆川家は少し前までの阿須田家をも凌駕する程に難問を抱えた家であると見られた。皆川真利子(佐藤仁美)は常に阿須田家に敵対するヒステリックな人であるし、子の皆川翼(中西龍雅)は常に母と一緒になって阿須田家を馬鹿にするし、夫の皆川功(池田政典)には不倫相手がいる。
ここにおいて阿須田家の四兄弟、阿須田結(忽那汐里)と阿須田翔(中川大志)と阿須田海斗(綾部守人)と阿須田希衣(本田望結)は、三田灯の狙いが何であるのかに気付いた。阿須田家にしても皆川家にしても、何か大きな問題を抱えた厄介な家で家政婦として働き、どんな難しい業務でも引き受ける姿勢を示し続ければ、いつかは無理な命令を下される機会が訪れる可能性が高い。夫を殺せ!とか、自殺したいから手伝ってくれ!とか、一家心中をしたいから手伝ってくれ!とか。そうした業務命令を引き受けることは、引き受けた三田灯をも破滅させるかもしれない。実はそれこそが三田灯の狙いではないのか?ということに阿須田家の四兄弟は思い至ったのだ。
こうして彼等四兄弟の、大好きな三田灯を破滅から救出するための大冒険が始まった。危険をも顧みない決死の作戦の連続ではあったが、どこか長閑で微笑ましくもあったのは、子供たちが力を合わせて難問に取り組んでゆくという展開それ自体が、昭和の子供向けドラマを想起させて、昔懐かしい風味に富んでいるからでもあるだろうか。
しかし今回、何よりも凄かったのは、皆川功の浮気の実態について調査して欲しいと皆川真利子から依頼された三田灯が、調査結果について詳細に報告する際、いつものように冷静な口調で淡々と、皆川功の浮気中の言動について述べる中で、デートの場であるゴルフ場において浮気相手に向かって彼が発した「いやんバンカー」「今日は君にホールインワンだ」という恥ずかしい親父ギャグまでも正確に説明していたところ。しかも詳細な報告の最後には唐突に、調査のために使用したタクシーの領収書を提出してみせたのも妙に面白かった。