女系と王家

現今話題の女性宮家創設へ向けた皇室典範の改正(むしろ改悪)の問題について共同通信社が電話世論調査を行ったとの報道あり。その報道による限り、国民中で歴史や国体を真剣に考えている人が最も多いのは、女性宮家創設論への賛成者数の割合が唯一半数にも達しなかった二十歳代の男子であると判る…と云いたいところだが、奇妙なことに、支持政党別では最も賛成者数の割合が大きかったのは自由民主党支持層、次いで無党派層民主党支持層が続き、最も賛成者数の割合が小さかったのは共産党支持層だったとか。共産党は何時から万世一系の皇統を崇拝する愛国政党に変わったのだろうか(もちろん変わってはいないはずだ)。そして自由民主党は何時から皇統の断絶と革命を企てる極左政党に変わったのだろうか(案外、構造改革の時代からそうなっていたのかもしれない)。女性宮家創設論は女性天皇ならぬ女系天皇を実現するための突破口であり、それは皇朝の交代への第一歩に他ならない。
どう考えても、どこの馬の骨とも知れぬ者に皇室を乗っ取られるよりは、多くの論者が主張しているように、敗戦後に臣籍降下させられた旧宮家を宮家に戻す方がよいし、あるいは(誰も主張してはいないが)最悪の場合でも、せめて源氏(「王家」)の有力者を皇室に呼び戻す方がマシだ。
最近は「王家」という語が色々話題になっているようだが、「王家」、「王氏」の概念には源氏や平氏(平家)も含まれてしまうので、専門家に向けて制作されているわけでもないテレヴィドラマ如きには迂闊に使用しない方がよいように思う。確かに中世において天皇の御一家が「王家」「王氏」と称されることはあったにしても、「王家」「王氏」には源氏や平氏在原氏のような臣籍降下した旧皇族までも含まれてしまうし、また、天皇(「帝」)が「王」と称されることはなく、「日本国王」と称されたのは足利義満徳川家康のような源氏の長者だったことについては、皇学館大学文学部国史学科の岡野友彦教授の好著『源氏と日本国王』を参照すべし。

源氏と日本国王 (講談社現代新書)

記事http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012010902000023.html