土曜ドラマ理想の息子第二話

土曜ドラマ「理想の息子」。第二話。
第一話において、海王工業高等学校一年生の鈴木大地山田涼介)と小林浩司(中島裕翔)が「マザコン」であることをなぜか執拗に敵視していた同校三年生の、ボクシング部の「ウッチー」こと内山吾郎(武田航平)。彼がそこまで「マザコン」を嫌うのは、彼の兄貴分である三船憲吾(藤ヶ谷太輔)が母に捨てられた少年であることを想ってのことだろうか?と前回ここに書いたが、どうやら少なくとも半分はその通りだったようだ。
彼は三船憲吾を全ての面において全面的に尊敬し愛している。だが、尊敬と愛の基底をなしているのは少々意外にも「愛校心」だった。かつては暴力団との関係さえも取り沙汰される程に荒廃し切っていた海王工業高等学校を、圧倒的な「カリスマ性」によってまとめ上げ、恐らくは暴力団の影響力を排除して、最低限度は浄化し得た三船憲吾の偉業への感謝の念が、その弱点や欠点をも含めた全部の面への全面的な愛を生んでいる。
下級生たちが「マザコン」であることに対する内山吾郎の極端な敵視は、自分たち三年生が卒業したあとに母校を担うことになるはずの下級生たちを、他校の不良連中から舐められることのないような強い男子にしておきたいという想いに基づいていたが、同時にやはり、三船憲吾の心の傷を決して刺激したくはないという想いにも発していたのだ。
さて、今回登場した同級生は、強靭な牙で攻撃を仕掛けてくるワニのような鰐川悠馬。驚くべきことにこの役を演じているのは入江甚儀。あまりにも怖い顔をしていたので、とても入江甚儀には見えなかった。
他方、柔道部の主将である丹波巌(脇知弘)は鈴木大地の美しい顔に惚れ込んで交際を申し込み、断られるや、諦めるためにもせめて一度だけ女装した姿を見せて欲しいと願い、そのための衣装一式を贈った。実際に女装してみせた彼の姿は、母の鈴木海(鈴木京香)の賞賛に反して、かなり逞しく男らしい感じだった。男子の美と女子の美は、一見かなり近付いているかのように見える場合であっても、実際には相容れない面があるということを踏まえておかないと、このような結果を招いてしまうのだ。