ハングリー!第三話

関西テレビ放送ホリプロ制作ドラマ「ハングリー!」。第三話。
平塚拓(三浦翔平)が漸く、山手英介(向井理)のフランス料理店にギャルソンとして合流した。「フロアは俺が盛り上げるから」という彼の言が、ロックバンドの人気ヴォーカリストだった過去とフランス料理店で働き始めた今とで一貫しているのが一寸面白い。かつて彼は山手英介と住吉賢太(塚本高史)と藤沢剛(川畑要)とともに組んでいたバンドに途中からヴォーカリストとして合流して、その人気を盛り上げたことがあり、バンドを脱退したあとには、ホストクラブで大人気を得ていたこともあった。要するに、周囲の人々に幸福感を与えないではいない魅力ある人物。接客には向いていない無愛想な連中ばかり集まって開店してしまった無愛想な料理店にとっては最強の接客係になり得る。実際、山手英介の亡き母(片平なぎさ)の友だった食通の大女優、高嶺薫(かたせ梨乃)は山手英介の料理人としての可能性を予感しつつも現時点では平塚拓の接客にのみ「及第点」を与えたのだ。
さて、このドラマにおける一番の見所、東京都内で有機農業を営んでいる「大楠農園」の主の長男、大楠佐助(佐藤勝利)の出番は今回は十時二十七分頃に来た。
恋煩いで寝込んでしまった姉、大楠千絵(瀧本美織)の代理として山手英介の店に食材の野菜を配達に来たのだ。健康そのもののような大楠千絵が寝込んでいると聞いて驚いて「風邪?」と尋ねた山手英介に、大楠佐助は朗らかな顔と声で「うん、なんかヤツレちゃってさ。じゃあ、毎度」と応えて、握り締めていた代金を財布に収めて退場した。濃い灰色のブレザーに、青と白のマフラーを締めて、紺色のバッグを肩にかけていた姿を見るに、どうやら学校から帰宅した直後に配達の仕事を云い付けられ、直ぐに引き受け、荷物も置かないで制服を着たままで仕事に従事したようだ。
今宵の番組の終盤には山手英介が大楠家を訪ねて大楠千絵に粥を食べさせる場面があったが、このとき彼を邸内に入れる役割を果たしたのは大楠佐助だった。しかし誠に残念なことに大楠佐助がその重要な役割を果たす場面は描かれなかった。
そして次週予告によると、いよいよ次週の第四話で、大楠佐助と平塚拓が出会うことになるらしい。