仮面ライダーフォーゼ第二十話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第二十話「超・絶・磁・力」。
フォーゼの新たな形態「マグネットステイツ」には衝撃を受けた。もはや仮面ライダーとは思えない姿をしているから。
フォーゼの「スイッチ」をメテオも使用できると判明したことにも驚いた。メテオの開発者が誰であり、それに関係すると見られる「タチバナさん」が誰であるのかの真相について考えさせるに足る事実だろう。
今朝の話の題名に云う「超絶磁力」というのは、一つには無論「マグネットステイツ」の強さを表しているが、もう一つには、如月弦太朗(福士蒼汰)と歌星賢吾(高橋龍輝)との間の友情が、もはや単なる友情ではないようにさえ思える程に、互いに「結び合う」関係であることをも表している。
凄いことに、この「結び合う」という一寸強烈な語は劇中に実際に出てきた語であり、しかもその語を使用したのは朔田流星(吉沢亮)だった。互いに対する想いの深さのゆえに互いを誤解して喧嘩してしまった両名を和解させるために、朔田流星が歌星賢吾に対して、歌星賢吾が如月弦太朗のために行動しているのと同じように如月弦太朗もまた歌星賢吾のために行動していることを明かした上で、両名の関係を磁石に譬えてその語を用いた。
朔田流星がメテオに変身して闘うに至ったそもそもの原因である友への想いが、どうやら悲しい片想いのような格好で中断しているらしいことも(視聴者に対してのみ)明かされて、なかなか良い話であるはずだが、如月弦太朗を捨てた歌星賢吾の「陸上部に来ても、考えるのは如月のことばかり…」という強烈な台詞もあった所為で、何だか妖しげな気配に満ちていた。歌星賢吾から「君には心底愛想が尽きた!」と宣告されたときの如月弦太朗の、驚きのあまり到底受け入れることができなさそうな、絶望と哀しみの表情にも色々な重みがあるように感じられてくる。
天ノ川学園高等学校の陸上部の女子の花形選手である江川留美加藤侑紀)が歌星賢吾への自身の片想いを半ば断ち切るようにして自ら彼から身を退いたのは、陸上競技における自身への彼の助言よりも、悪い奴等から若者たちを救うために戦っているフォーゼ=如月弦太朗への彼の助言の方に重みがあると認識したからであって、決して男同士の愛の強さに圧倒されたからではないだろう。でも、そんな感じにしか見えなかった。
落ち込んでいた如月弦太朗に対する風城美羽(坂田梨香子)等の接し方も、まるで相思相愛の相手と喧嘩別れをして悲しんでいる者に対する接し方ではないだろうか。