金曜ナイトドラマ13歳のハローワーク第七話

金曜ナイトドラマ13歳のハローワーク」。第七話。
衝撃の展開。主人公の小暮鉄平(松岡昌宏)の二十二年前の、十三歳の無邪気なテッペイ(田中偉登)にとっては一番の親友であるはずの、三上純一中川大志)の意外な真相が明らかになりつつある。優等生で長身で容姿端麗で、しかも誰にでも常に優しく、特にテッペイには無類に優しい彼が、意外にも犯罪に手を染めているのかもしれないのだ。
だが、この真相は次週の第八話においてその全貌を見せるようだ。第八話において物語の鍵を握るのはどうやら三上純一であるらしく、しかもこの物語の解決がどうやらテッペイ=小暮鉄平の将来、その二十二年後の行方を左右するらしい。
云わば彼は陰の主人公でさえあったのだろうか。次週の話を何としても見逃すわけにはゆかない。
ところで、今回の話において小暮鉄平が目撃した職業は、小さくとも個性と味には自信のあるカレー店と、その味を買収して大量生産に乗せて儲けてやろうと企てる商事会社だった。この会社は誠に卑劣にも、カレー大好きな大学生の堀尾和正(斉藤慶太)が仲間二人と一緒に工夫して創出した「キャンパスカレー」の絶妙に美味なレシピを合法的に買収するため、彼の仲間二人を引き抜いてみせた。もちろん真の狙いはそのレシピにあり、彼等二人にはない。むしろ堀尾和正その人を引き抜くことができれば、現在のレシピだけではなく、今後ますます改善されて次々生み出されるはずの将来のレシピをも手に入れることができるわけだが、生憎、彼は買収の話には応じようとはしなかった。彼が応じなかったのは、自身の味覚と創造力に自信があるからこそであり、他方、彼の仲間二人が応じたのは、彼の仲間であり協力者ではあってもそれ以上ではないと自覚していたからだろう。彼等二人が堀尾和正の力量と自信を信頼し切ることができなかったのは不幸と云うほかない。やがてバブル景気が崩壊したとき、あの商事会社は経営の健全化のために無茶なリストラを断行したに相違ないが、もちろん彼等二人は真先に切り捨てられたことだろう。なにしろ採用の決定した時点で既に両名の役割は終了していたから。堀尾和正の仲間として小さな店を一緒に運営していれば永続していたかもしれない幸福を、目先の繁盛に目の眩んだ結果として永遠に喪失したのだ。
それにしても、堀尾和正が小暮鉄平等と一緒に拵えた「キャンパスカレー」を食べていたときの三上純一の幸せそうな顔が印象深い。そして今宵の第七話の最後の、悪い仲間集団に「パーティ決行」を通知して現場へ向かう彼の怖い笑顔が凄まじい落差を生んだ。あんなにも素直な、幸福な、無邪気な顔をした少年が悪い奴等を率いて悪事を働いていたなんて。悲しくて、次週の第八話を見るのが怖くて辛い程でさえある。でも何としても見逃せない。