仮面ライダーフォーゼ第二十八話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第二十八話「星・嵐・再・起」。
天ノ川学園高等学校の「校長」こと天秤座ゾディアーツ=速水公平(天野浩成)の意外なまでの恐ろしい本性を知らされた。なにしろ彼は、予て己に対して生意気な態度を取り続けてきた落語家ゾディアーツ=鬼島夏児(タモト清嵐)を、巧妙にも密かに抹殺したのだ。しかも、組織と戦略にとって邪魔な者を消したわけでもなければ無益な者を消したわけでもなく、あくまでも己の立場を脅かす程に有能だっただけの者を、己の立場を守るために消したに過ぎなかった安さ加減が、抹殺の仕方の冷酷な恐ろしさを増幅させた感がある。何の愛嬌も美もない悪は最も悪く恐ろしい。
今回の朔田流星(吉沢亮)は「走れメロス」の主人公メロス。そして如月弦太朗(福士蒼汰)をはじめ、仮面ライダー部の部員一同はメロスの友人。彼等の関係を鬼島夏児は「集団“走れメロス”」と形容した。如月弦太朗率いる皆の生命を懸けた友情に、朔田流星も漸く、己の抱く友情と彼等の友情とが同じものであることを知った。そして朔田流星は、彼等との命を懸けた友情の力によって、メテオとして闘う権利を取り戻し得た。しかるにメテオに変身する権利を得るや、彼は再び正体を隠し、本心を隠して、熱い友情を拒絶して生きる少年という仮面を装着しなければならないのだ。