八年前の書

このところ読んだ書の内の二冊。小谷野敦『日本文化論のインチキ』は、日本で、特に戦後の日本で左右両陣営それぞれの立場から数多く発表され続けた日本文化論の類、換言すれば、日本の文化は世界の中で特殊であり外国からは理解され難いという論の類について、その根拠や論理のなさ加減を一薙ぎ批評していて面白い。
しかるにそのことは単に「インチキ」な評論家や心理学者や文学者が数多いたことを物語るだけであるのかどうか。関岡英之『拒否できない日本-アメリカの日本改造が進んでいる』を読めば、占領期以降の日本文化論の類の大半が、占領期の終了後にも占領の状態を継続する戦略に乗じた人々又は不覚にも乗せられた人々によって捏ね上げられたのではなかったろうか?とさえ思える。関岡英之の書は昨今の情勢を論じているかのようにも読めてしまうが、実際には八年もの昔、平成十六年四月二十日に発行され、昨年八月五日の時点で第二十三刷。

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書)
中国を拒否できない日本 (ちくま新書)
国家の存亡 (PHP新書)