バッハ復元協奏曲集

今宵、かなり前にHMVに注文しておいたヘルムート・リリング指揮バッハ・コレギウムの演奏によるバッハ教会カンタータ全集CD七十一枚組が、バッハ復元協奏曲集とテレマン組曲集とともに漸く到着。しかし今宵は時間の余裕がないので取り敢えずは復元協奏曲集のみを鑑賞。
バッハの復元協奏曲は、チェンバロ協奏曲の形で現存しているバッハの(ブランデンブルク協奏曲とヴァイオリン協奏曲を除く)協奏曲群を、チェンバロ用に編曲される前の本来の独奏楽器が何だったかを推定して、編曲し直して、試みに「復元」してみたものを云う。オーボエとヴァイオリンのための協奏曲は今や原曲であるかのように扱われている程であるし、オーボエダモーレ協奏曲も既に定着しているが、多くの作品群については今なお様々な楽器への復元が試みられ続けている。
今宵のCDの場合、一般にはヴァイオリン協奏曲として復元される作品(BWV1052)をオルガンとオーボエのための協奏曲にしているのは、バッハ自身が教会カンタータ前奏曲として同じ曲をオルガン協奏曲に編曲して活用しているわけだから何の違和感もない。しかるに、同じく教会カンタータ前奏曲に転用されていて、それに基づいてオルガン協奏曲として復元されるのが当然であると思われる作品(BWV1059)を、チェンバロオーボエのための協奏曲にしてみせているのは意表を突くが、意外に説得力がある。
オーボエダモーレ協奏曲として親しまれ、定着している作品(BWV1055)をヴィオラ・ダ・ブラッチョ協奏曲にしているのも面白いが、三つのヴァイオリンのための協奏曲として親しまれ、定着している作品(BWV1064)において、独奏楽器群には従来通り三つのヴァイオリンを採用しておきながら、合奏楽器群を弦楽からオーボエファゴットに置換しているのが見事な効果を発揮している。

CONCERTO RECONSTRUCTIONS