仮面ライダーウィザード第九話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第九話「ドラゴンの叫び」。
操真晴人(白石隼也)が胸中に眠らせて飼っていたドラゴンを目覚めさせてその力を借りて、ウィザードの力と姿を新しくした。ドラゴンの力を覚醒させるための魔法の宝石を送り届けた白い魔法使いは「進化」と形容した。この進化によって強くなったのは当然だが、姿も少し格好よくなった。上着が赤くなったのが良い。フォーゼが最後まで格好よくならなかったのに比べると恵まれている。
操真晴人がドラゴンの力を借りようとしたとき、ドラゴンは今まで操真晴人の胸中に眠らされて潜んでいた己の力が表に出てゆけば操真晴人も絶望に近付く恐れがあることを告げたが、これに対して操真晴人は、ドラゴンの力を借りることでウィザードを強くしてファントムを退治し、ゲートの人間を一人でも多く救うことができる以上、ドラゴンの力を借りることは己の絶望を消し去り得る道であり、要するに「おまえの力も俺の希望だ」と応えた。
ドラゴンは「面白い。ならば、どこまで耐えられるか試してやろう。思う存分、俺の力を使うが良い」と応じて、そしてウィザードは進化を遂げた。
操真晴人は本来は己の敵でさえあるはずのドラゴンの力を借りることで新たな力を得たが、他方、ドラゴンも操真晴人のために力を貸しつつも本来はそれが操真晴人の心身に害をなし得る恐れあることを知っている。
このような奇妙で危険な共犯関係は、多くの仮面ライダー物語において構造として潜在していて、八年前の「仮面ライダー剣」では強烈な形で主題をなして結末を支配したが、二年前の「仮面ライダーオーズ」では、力を貸し与える者を人物として登場させ、力を借りて仮面ライダーに変身する人物との間の危険で奇妙な関係を、二人の人物の間の対立と友情へ具象化していた。操真晴人とドラゴンとの間の関係はそれに近い趣向になるのだろうか?とも思うが、今後ドラゴンはどの程度の頻度で登場して遣り取りをするのだろうか。
フェニックス(篤海)はウィザードに敗北したが、不死身だった。メドゥーサ(中山絵梨奈)はフェニックスを馬鹿にしてはいたが、反面、フェニックスの敗北を予想できてはいなかったらしい。