仮面ライダーウィザード第十四話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第十四話「帰って来た映画監督」。
この話で一番の見所だったのは、後半の、操真晴人(白石隼也)が元映画監督ファントム(植田圭輔)を相手に生身の人間体のままライダーキックを食らわして、相手が蹴飛ばされた隙に素早くウィザードに変身してみせた動作の格好よさ。
主題に関して見るなら、ファントムの人間体がゲートにとっては旧知の仲の人、しかも行方不明になっていると思って探し求めていた人であること、その上、その人が既に亡くなってファントムと化している事実をゲートが未だ知らされていないという状況の恐ろしさにある。
一般に人は未知の人よりも既知の人を信頼し易いが、既知の人の正体が最も悪質な敵対者である恐れ、味方に擬態した敵である恐れは常にあり得る。もちろん現実の世界における歴史上の事例としても存在する。このとき人はどのように振る舞うべきであるのか、そしてどのように振る舞うことができるのか。
操真晴人の選択は、次回の第十五話で明かされる。なお、その他にも今回の話には考えるに値する要素が色々あった。
例えば、操真晴人やコヨミ(奥仲麻琴)に次々新たな魔宝石を提供してきた白い魔法使い(声:高階俊嗣)は、役割を見る限り明らかにウィザードの側、ファントムに敵対する側にあるが、今回、彼の使役した「使い魔」はケルベロスだった。少々不吉な名称ではないだろうか。どこまで信用しておいてよいのか不安になってくる。
また、今回のファントムが生じたのは、操真晴人が胸中にドラゴンを飼うようになったあの日食の日の儀式においてだった。しかも、儀式を乗り越えて生き延びていた操真晴人を襲撃しようとしたのが、映画監督志望の青年の死から生じた今回のファントムに他ならなかった。このときファントムを撃退して操真晴人を守ったのが、コヨミを抱いて現れた白い魔法使いだった。だから映画監督ファントムは操真晴人に遭遇してその顔を見た瞬間、既に見知った顔であるかのように反応していた。このことは、今後も操真晴人を知るファントムが出てくる可能性もあることを物語るかもしれない。