スティグリッツ教授
今やインターネット上では知らぬ者がいない程に有名な、米国コロンビア大学教授スティグリッツ先生がTPPについて「日米両国の国民にとって不利益にしかならない可能性がある」と指摘したという報道あり。
「http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130322-00000056-asahi-bus_all」。
企業の利益を守るため、食の安全を保障できなくなったり、医薬品の開発を妨げたり等の事態が生じる恐れがあると述べたほか、現今話題の軽自動車問題についても、日本の市場で売れるような商品を開発しようともしないで、売れそうにもない既存の商品を日本の市場に売り付けようとしている米国の企業の無理難題が、TPPで強制力を持つことになる恐れを述べたようだが、注目すべきは、不利益を被るのが日本国民だけではなく「日米両国の国民」であると云われている点。
その意味は極めて明快。なぜならTPPはグローバル大企業の利益を最大化させるために、各国の国家権力を最小化して、それによって国民=消費者の利益を奪うための構造改革であるから。だから日本の大企業もTPPを推進する。
世間には今なお国家権力を国民に対立する敵のようなものとして捉えたがる人々がいるが、現実には、国家権力は国民の力で「民主的」に制御できる範囲にあるのに対して、グローバル大企業はそのような仕方では制御できない位置にあり、その強大な力から国民を保護するための最小限の障壁として使用できるのは国家権力の外にはないのであると理解しなければならない。換言すれば、民間人の意見を尊重するという形式の下に国家権力がグローバル大企業と結託するようでは、もはや国民を守るものはないということでもある。「新しい公共」にもグローバリズムにも同じように警戒しなければならない。