旅行記/香川県立ミュージアム

旅行記。
休日。朝、普段通りの時刻に起きて、普段よりも少し早めに外出。電車で伊予鉄道松山市駅へ行き、高松行の高速バスの往復券を購入して九時四十五分頃にバスに乗車し、九時五十分に出立。昼十二時半頃に終点のJR高松駅前に到着した。高松城の堀の周囲を歩き、十二時五十分頃、香川県立ミュージアムへ到着。
裏側の玄関を入り、そのまま表側の玄関へ通り抜け、あらためて表側の玄関から入館した。かなり空腹だったので館内の喫茶店に入り、西京焼定食で昼食。上品で美味だった。
今日、香川県立ミュージアムへ来た目的は、今月二十六日の日曜まで開催されている瀬戸内国際芸術祭二〇一三開催記念「京都国立博物館名品展 いとうるわし。日本の美」を観照することにあった。一時二十五分頃に会場へ入り、三時五十分頃に出るまでの間、急ぎ足に見て回った。
国宝、雪舟筆《天橋立図》一幅を見ることができるものと思い込んでいたが、生憎その展示期間は今月六日までで終わっていた。しかるに重要文化財雪舟筆《四季山水図巻》一巻を見ることはできた。
讃岐の人である空海に因んだ文化財をはじめ、香川に所縁ある名品を中心にして展示を構成しているのが面白かった。
例えば、与謝蕪村は讃岐へ旅行したことがあり、与謝蕪村筆《倣銭貢山水図》一幅は金刀比羅宮の近くにあった臨川亭に滞在した際の作である由。併せて、同じ与謝蕪村の作として、重要文化財《奥之細道図巻》下巻も見ることができたのは有難い。与謝蕪村のライヴァルは池大雅池大雅筆《四季山水図》四幅対の内、今月六日までは春と秋の二幅が出ていたらしく、現在は夏と冬の二幅が出ていた。「夏雲多奇峰」の雄大な空間の拡がり。「冬峰秀孤松」の寒い雪景の中の暖かさ。
円山応挙筆《琵琶湖宇治川写生図巻》一巻も実に興味深かった。
今回の展示で最も魅了されたものの一つは、仮名の書の傑作、国宝《古今和歌集巻第十二残巻(本阿弥切)》一巻。その近くに並んでいた土佐光吉/長次郎筆《源氏物語画帖》丙帖/丁帖は豪奢でありながら愛らしく、しかも劇的な構図をなしている。匂宮が猫と同衾している図の豪奢な色彩が凄い。詞書の筆者には中院通村をはじめ村上源氏が少なくなかったのだろうか。
重要文化財尾形光琳筆《太公望図屏風》二曲一隻の色彩は、華やかだが、実に複雑。太い線も形も堂々として、間近に見ると、意外なまでの威厳がある。《洛中洛外図屏風(二条城)》六曲一隻を細部まで読みつつ存分に味わうには流石に時間が足りなかった。ただし、この屏風の制作時期は「桃山時代」と書かれていたが、江戸時代と書かれるべきではないのだろうか。
会場を出たあと、引き続き空海に関する展示、高松松平家名品の展示、ダリの版画の展示を見て、さらに常設展示をも眺めていたところで閉館の三十分前である旨の館内放送があったので大急ぎ展示室を出て、一階の売店で図録十一冊を購入。
閉館時間の夕方五時に館を出て、往路と同じ道を復してJR高松駅前のバス乗場へ。五時三十五分発のバスに乗ることもできたが、敢えて一便遅らせて、駅の二階にあるウドン店で早めの夕食。丁度よい時刻にバス乗場へ戻り、六時二十分に出立。松山へ着いた頃に急に鼻血が出て焦ったが、直ぐに止まったので安心した。夜八時四十分頃、大街道でバスを降車し、徒歩で道後まで戻った。その途上、大学に近い食料品店で野菜と肉と洋菓子を購入した。