朱子と論語と老子

昭和五十年代の新聞記事を見ていて、孔子の言葉というのが引用されていたので、原文を確認しておこうと思い、岩波文庫の『論語』を眺めてみたものの、該当する語を見付けられない。似た意を伝えているように解釈できる語を見出したが、岩波文庫の解釈は違う。そこで念のため中央公論『世界の名著3』で論語の同じ箇所を見てみたところ、貝塚茂樹の註解あり、なるほど朱子の解釈に基づいていたらしいと判明した。序でに『世界の名著4』で小川環樹の註解による「老子」も眺めてみれば、昭和五十年代の記事に出てきた引用に近い文言を見出し得た。なるほど、その引用のもともとの発言の主は朱子学論語老子を踏まえていたようだが、記事をまとめた記者がそれを理解できていなかったようだ。