仮面ライダーウィザード第三十六話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第三十六話「九官鳥は語る」。
操真晴人(白石隼也)は、今回の話におけるゲートの事件に少なくとも現時点では主要な役割を果たしてはいない。ゲートを追跡しているのは大門凜子(高山侑子)と奈良瞬平(戸塚純貴)の両名であるからだ。
仁藤攻介(永瀬匡)に至っては、第三十六話の三分の二が終わるまで姿を現すことさえもなかったが、登場の仕方は面白かった。晴天の下、公園で空腹を嘆きながら寝転がっていたところへ操真晴人が偶々通りがかり、助力を求めたのだ。
ゲートの根本和良(平田実)はコンヴィニエンス店のアルバイト店員をして生計を立てる美少女アニメ好きのオタク中年で、極度に気の弱い人物だが、現在、警察からは連続放火事件の容疑者と見られている。奈良俊平はゲートを保護するために彼を追跡しているが、警視庁の刑事である大門凛子は逮捕するために追跡している。当然だろう。ところが、ソラ(前山剛久)によれば、このゲートは極度に気の弱い性格の持主であるから、警察に逮捕されるようなことにもなれば直ぐに絶望するのではないかと危惧される。
実際、奈良俊平はそのことを感じ取ったのでゲートを連れて一緒に逃亡し始めたが、そのために警察の車両を強奪して乗り込み、あろうことか、この重大な犯罪に大門凛子をも巻き込んでしまった。
しかし気を付けなければならないのは、奈良俊平と大門凛子がゲートを追跡するために利用した情報は全て、ゲートが常に携えていた九官鳥の言葉から得たものだったことだ。ゲートの住所や仕事場に関する情報にしても、ゲートが「絶望」を口癖にしているのかもしれないという情報にしても、九官鳥が発したものだった。しかるにこの九官鳥こそは、ソラ配下のファントムだったのだ。両名ともファントムに利用されたのではないのか?とも疑われるが、同時に、奈良俊平の常軌を逸した行動力は、ソラとファントムの予想を超えていたのかもしれない。