仮面ライダーウィザード第四十六話

平成「仮面ライダー」第十四作「仮面ライダーウィザード」。
第四十六話「ひび割れた思い」。
コヨミ(奥仲麻琴)がソラ(前山剛久)に誘拐されそうになったとき、それを止めてコヨミを取り戻そうとした操真晴人(白石隼也)はソラによって非道く打ちのめされ、立ち上がれない程になったが、そこへ白い魔法使い=笛木奏(池田成志)が現れて、ソラを撃退し、コヨミを連れ去った。
ここで重要な事実の確認があった。操真晴人が白い魔法使いに対し、「今まで何してたんだよ。あんた、コヨミの父親だろ?」と詰問したとき、笛木奏は「気付いていたのか」と反応した以上、コヨミが笛木奏の娘であることは確定した。
そして白い魔法使いがコヨミを操真晴人に預けていたのは、コヨミの生命を維持するために操真晴人の魔力が必要だからであることも確定した。白い魔法使いの魔力ではそのための役に立たないのだろう。なぜなら笛木奏は今回、甚だ不自然にも、コヨミの手の傷みを見ても直ぐに治そうとはしなかったからだ。「古の魔法使い」であるビースト=仁藤攻介(永瀬匡)の魔力も役には立たず、メイジ=稲森真由(中山絵梨奈)の魔力は役に立つ。このことが白い魔法使いの計画の本質を照らし得る。全てはコヨミのために始められ、続けられているのだろう。
操真晴人はあらゆるゲートを救うために闘っているのに対して、白い魔法使い=笛木奏はコヨミだけのために闘いを惹き起こしているように見える。目的のためには手段を選ばない姿勢だが、そのことは、稲森真由に操真晴人の持つ魔法の指輪を盗ませようとした(に違いない)ところにも良く表れている。
コヨミが「賢者の石」であることも確定したと見てよいのだろう。ソラは「賢者の石」を手中に収めたくてコヨミを手中に収めようとしたが、白い魔法使いはソラの狙いを見抜いていたように見えた。しかもソラはコヨミの手の傷みを見て己の読みが当たっていたと確信したが、笛木奏もコヨミの手の傷みを見て、もはや一刻の猶予もないことを確信したのだ。ソラは事態を正確に読み解いたに相違ないと見られる。
白い魔法使いがワイズマン(声:古川登志夫)と同一である可能性も、このこととの関連で考えることができるかもしれない。なぜならメデューサ中山絵梨奈)がワイズマンに対し、ソラが「賢者の石」を手に入れて「人間になる」ことを願望し、「ファントムとはサヨナラ」になりたいとまで宣言したことを報告したとき、ワイズマンは「さては気付いたか?」と呟いたからだ。その直後だろうか、白い魔法使いは稲森真由の前に現れてメイジの強化の相談に乗じたのち、ソラがコヨミを誘拐しようとした場面に出現してソラを打ちのめし、「永遠に」消し去ろうとしたのだからだ。
白い魔法使いとソラの戦闘では一見、白い魔法使いの強さが誇示されたかのようだが、冷静に考えれば、むしろソラの意外な強さが確かめられたようにも見える。なにしろ白い魔法使いは「失せろ!永遠に」と告げてソラに最大限の攻撃を加えたにもかかわらず、ソラは消滅するどころか立ち上がって逃走できたのだ。白い魔法使いはそれを追撃しようともしなかった。ソラは手強いと判明した。