スターマン第九話

ドラマ「スターマン -この星の恋」。第九話。
富士山の麓の、広くて小さな町の、山の中の洒落た一軒家の、祖母と母と三兄弟の三世代が同居している宇野家に、新たな若い「パパ」として迎えられた「宇宙から来た王子様」、星男(福士蒼汰)に関して、宇野家の三兄弟の長男、宇野大(大西流星)は、母の宇野佐和子(広末涼子)や祖母の柏原美代(吉行和子)に対する不満を明らかにした。
不満の中身は、もっと真面目に考えるべきだ!ということだが、その中身は色々あった。母が恋に夢中になり過ぎて家事が雑になり、実の子供をやや疎かにしていることへの不満もあったが、もっと本質を衝いていたのは、異星から来た星男には戸籍さえもなく、ゆえに住民票もなく保険証もなく、納税も年金もないことへの危機感だった。実のところ、これは多くの視聴者が抱いていた疑問でもあったろう。それを劇中で代弁してくれたのが大人でもなければ老人でもなく、小学生の宇野大だったのだ。
星男に身体を明け渡して逝去した達也(福士蒼汰)の戸籍等を引き継ぐという手もなくはないが、そのための手がかりを知るかもしれない羽生ミチル(木南晴夏)の連絡先を把握できているのだろうか。
彼はもう一つ重要な、しかし意外な指摘をした。星男が凄まじい速度で疾駆したり跳んだりするのは、地球人にとっては驚異の能力ではあっても、星男にとっては普通の能力であり、そのことで星男を特別視するのは良くないのではないか?というのだ。なるほど、その通りであるかもしれないが、それでもなお、星男の能力が地球人にとって驚異の技である事実は、現時点では変わらない。星男が早く走り高く跳躍することは米国人が英語を操るようなものか…と柏原美代は同意して、確かにその通りだが、星男のような能力の持主は、今のところは重田信三(國村隼)を除けば、他にはいないのだ。
だが、この厳しい指摘は星男には応えたようだ。実際、彼自身が今日、林業の現場で優秀な職人たちと一緒に働いてそのことを感じていたのだ。林業に心身を捧げる佐竹幸平(KENCHI)は永年の努力で技を身に付けた優れた職人だが、星男は本来の身体能力だけで皆を驚かせた。そのことに星男は戸惑っていた。しかし彼は自身の本来の身体能力を封印した場合、自身が地球人としては当たり前のことさえもできないような無能力になってしまうことをも感じて、自信を喪失し、落ち込んでしまった。この感情が物語の結末を導くのだろうか。