旅行記二/国立西洋美術館/東京国立博物館/東京都美術館

旅行記二。
朝十時頃にホテルから外出。上野恩賜公園まで歩いて、国立西洋美術館へ。
十一月十七日まで開催されている「システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展 天才の軌跡」を鑑賞。土曜であるにもかかわらず行列に並んで順番を待つこともなく入場できた上、会場内でも大した混雑に見舞われなかったのは、台風の影響に因るのだろうか。
ミケランジェロ作の見事な浮彫やデッサン、建築図面をはじめ、彼自身や関係者の書状、そしてシスティーナ礼拝堂の大壁画「最後の審判」の当初の姿(換言すれば、教皇の命令を受けた別人の手で無用の衣服を加筆される前の、全裸の身体で描かれた天使や聖者や人々の様子)に近い姿を伝える同時代人による銅版画の連作が参考図版の大きな写真パネルとともに展示されていて極めて興味深かった。しかし同時に、ミケランジェロ展を開催することの困難をも思わなければならなかった。
急ぎ見終えたあと、平常展の中で開催されていた企画展「ル・コルビュジエと20世紀美術」や「イタリア版画展―新収作品を中心に」等を鑑賞した。大学生らしい人々が大勢散見されたが、建築学専攻の学生たちだろうか。午後には、著名な大学教員をつとめる建築学者による講演会があったはずだ。
売店にはミケランジェロダヴィデ像の小さな模型があった。小さいとはいえ、高さは三十センチ位はあったろうか、棚に飾るには大きい。値段も一万三千円位。ゆえに買わなかった。
東京国立博物館へ行き、総合文化展の入場券を購入して入り、東洋館の脇にあるホテルオークラの食堂で遅めの昼食。本館の二階と一階を一周したあと東洋館へ入り、東洋館リニューアルオープン記念特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」を鑑賞。名作が並んでいて驚嘆したが、総合文化展(=所謂「常設展」)の入場料だけで(別料金を要せず)見ることができたのをどう考えるべきだろうか。国立博物館と上海博物館とともに主催に名を連ねる日本経済新聞社毎日新聞社の大盤振る舞いであると好意的に見ることもできるが、入場者数を少しでも多くして「日中友好」を水増しするための策に過ぎないと批判的に見る人もいるかもしれない。
博物館を出たのは夕方四時四十分頃。急ぎ東京都美術館へ赴いて、「ターナー展」を急ぎ鑑賞し、閉館時間の五時半に美術館を出た。JR上野駅のパンダ橋を渡り、コンヴィニエンス店で念のため折り畳み傘を購入。適当な食堂を求めながら御徒町まで歩いて、結局は昨夜と同じ高架下の食堂で早めの夕食を摂ったあと高架下のパン店で明日の朝食を購入してホテルへ帰った。