旅行記三/国立新美術館オルセー美術館展&バレエ・リュス展/出張仕事/両国名店

出張の日。とはいえ仕事は昼二時半から始まる予定で、それまでは移動のための時間だが、松山から東京への移動は既に完了しているので、昼までは自由に過ごし得る。そこで朝十時にホテルを出たあと、銀座線で浅草駅から表参道駅を経て乃木坂駅へ。月曜でも開館しているサントリー美術館へ行こうかと思っていたが、暫し涼を取るべく通過しようとした国立新美術館では、流石、月曜だからか、「オルセー美術館印象派の誕生―描くことの自由―」も待ち時間なく入場できる程度には混雑していない様子であると見受けたので、今日の内に観照することにした。
マネやモネやセザンヌの色々な傑作が並んでいて、風景画の中では私的にはセザンヌの《マンシーの橋》に心惹かれたが、今回の展覧会の素晴らしさは、歴史画や裸体画の傑作をも取り上げている点にある。特に驚かされたのはモローの名作《イアソン》が来ていたこと。この一点を見るためだけでも混雑に耐える価値はある。ルフェーヴルの《真理》も颯爽としていた。歴史画ではエリー・ドローネーの《ローマのペスト》が良かった。エリー・ドローネーと云えば、かつて宮崎県立美術館の開館記念展覧会でナント美術館蔵の《ダヴィデ》を見たことがあるが、その姿形には現代日本人の好みにも通じるものがあるように見えて面白い。《ローマのペスト》における天使と悪魔の造形にもそれが窺えて、やはり面白い。モローに近いものがあるようにも思われるが、実際、モローとは親しかったらしい。興味深い。エリー・ドローネー展をどこか日本国内で開催しないものだろうか。大急ぎ会場を回って昼一時頃に出たあと、急ぎ地下へ降りてサンドイッチだけで急ぎ昼食を済ませて、三十分間ばかり時間の余裕ができたので、序でに「現代の芸術・ファッションの源泉 ピカソマティスを魅了した伝説のロシア・バレエ 魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」も大急ぎ観照。これも思いのほか面白かった。もっと時間をかけて、映像等も存分に見ておきたかった。
国立新美術館の地下にある乃木坂駅を一時五十分頃に出立して表参道駅を経て渋谷駅へ。二時半頃から始まった会議は夕方六時二十分頃に終了。原宿駅へ向かうタクシーに同乗させてもらい、原宿駅から代々木駅、都庁前駅を経て両国駅へ。改札口で待ち合わせていた同業の著名人に、当地の名店へ連れて行ってもらった。とても美味だったが、店の方々も良い感じだった。江戸風なのだろうか。会話を楽しませてもらい、贅沢な約二時間を過ごし、タクシーで浅草の雷門通のホテルへ帰った。テレヴィを点ければ、新番組「HERO」第一話が終わろうとしているところで、さらに続けて見ていたところ、「ビストロSMAP」にその出演者一同が登場し、市川海老蔵の舞台を市川カニ蔵(香取慎吾)が手伝っていた。見終えたところで凄まじく眠くなり、起きたのは翌朝五時半頃。ゆえに七月十五日午前八時二十九分に記之。