水球ヤンキース第七話

土ドラ「水球ヤンキース」第七話。
主人公の稲葉尚弥(中島裕翔)が無実の罪で謹慎処分になり、それに伴い、霞野工業高等学校水球部も活動休止を命じられた。犯人である証拠もないのに罪を問われたばかりか、不服があれば無実である証拠を出さなければならないとまで云われるというのは、余りにも無茶な事態だろう。理不尽、不条理としか云いようがない。痴漢冤罪事件を連想させる。疑われた者は、絶望を感じずにはいられないことだろう。実際、流石の稲葉尚弥も弱り果て、落ち込んでいた。
率直に云って、視聴者としても、こんな理不尽な展開には不快感しか抱きようがない。四十五分間のテレヴィ番組の内、開始から四十分もの間を理不尽な話が占め、その間、どんどん不快感が増してくるというのは、視聴者を脱落させるには有効だろうが、視聴者を楽しませるには有害だろう。最後の数分間で、商店街の人々と教頭を一気に改心させて、辛うじて不快感を解消し得たことは認められるが、途中で逃げた視聴者も少なくなかったのではないかと危惧する。
愚かな教頭に対する三船龍二山崎賢人)の抗議は実に正論で、視聴者の誰もが三船龍二の言を聴いて安心したに相違ないが、それで終わられても困る。そんなことでは物語にならない。教頭が本当に己の罪を深く認識できたのかどうかは、今のところは必ずしも定かではない。生徒をそもそも信頼できるはずのない無価値な連中であると断言してみせた教頭の言が、稲葉尚弥をはじめ生徒たち皆をどれだけ深く傷付けたか。傷の深さと罪の深さを全く解決することも描くことさえもできないようでは話にならない。
郷田剛(鈴木伸之)の所業は、今までの虐め、脅迫、暴行の何れも全て許し難かったが、今回の罪は今まで以上にさらに容認し難い。郷田剛と教頭には少なくとも然るべき結末でも来なければ、納得できそうもない。