旅行記二/東京都美術館エジプト展/汐留ミュージアム建築家シャロー展

旅行記二。
休日。朝七時半に起きて、ホテルの一階の食堂で朝食。墨堤の方角を眺めながら。同じ系列の京都のホテルの朝食のようには贅沢ではなかったが、それでも他の普通のホテルの朝食よりは格段に良い内容だった。実に良かった。宿泊室で暫し寛いだあと荷物をまとめて、十時頃にはホテルを退出。浅草寺参拝は昨夜中に済ませたが、一応、雷門通へ行って朝の風雷神門の賑わいだけを眺めて、それで満足して浅草を去り、銀座線で上野駅へ行き、JR上野駅のコインロッカーへ荷物を預けて、東京都美術館へ。
九月二十三日まで開催されている「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」を鑑賞。展示会場内で監視員が注意事項を叫び続けていたのが鬱陶しかった。監視員が騒々しいのは大概、朝日新聞関係の展覧会だろう…と思ってチラシを見れば、やはり、主催者には朝日新聞とTBSが入っていた。
展示会場の最後には映写室が設けられ、展覧会の主旨を解説するためのTBS制作による映像が上映されていたが、説明に矛盾があった。「女王」=女性ファラオは平和を愛して自由貿易を推進したおかげでエジプトは空前の富を築いた…というのが主催者の主張だったようだが、貿易の推進にあたって女王は貿易の船を艦隊で護衛していたらしいのだ。これは要するに、強大な軍事力を背景に他国の富を収奪したということではないのか。このような場合の「平和」とは平定に他ならない。戦闘がなかったという単純な意味では確かに「平和」だろうが、これは正確に云えば抵抗を無力化し得る程に強大な軍事力が周辺諸国を圧倒していたという話であって、戦闘よりも残酷な「冷戦」の状態でしかない。今日のことに目を転じるなら、米国が軍事力で諸国を脅かしながら諸国に不自由を強いる「自由貿易」を押し付けるのと同じことを、古代エジプトも行っていたというだけの話ではないのか。
一通り見終えたあと、東京都美術館三階の食堂で昼食。昔ここの食堂が質素だった頃には何度も来たことがあるが、今のように華やかに新装されて以降は今日が初めての利用。洒落たカレーで、なかなか良かったが、昔の質素なカレーの方が美味しかったかもしれない。
東京都美術館を出たあと、上野恩賜公園の噴水の前で行われていたフィリピン祭を少しだけ覗いたあと、今回は東京国立博物館にも国立西洋美術館にも行かず、早めに上野駅を発って新橋駅へ移動し、ここでもコインロッカーへ荷物を預けた。
二時頃、パナソニック汐留ミュージアムで十月十三日まで開催されている展覧会「建築家ピエール・シャローとガラスの家」を鑑賞。非常に興味深く面白い内容だった。余りにも面白くて、予定よりも長く滞在してしまい、やや焦りながら新橋駅へ戻り、、急ぎ浜松町駅へ移動し、東京モノレール羽田空港第一ビルに到着したのは四時二十分頃。夕方五時十分に出立。松山空港から道後温泉駅前までバスで移動。道後商店街では湯之町神輿が秋祭の準備を始めていた。業務用の食料品店に寄って帰宅。