観光地と歴史

普段の生活ではテレヴィを点けることさえも少ないが、旅行中にホテルで過ごしていると、室内の暗さを補うためにも取り敢えずテレヴィを点けることが多い。昨夜もテレヴィを点けていたところ、深夜ドラマ「黒服物語」が始まったので、そのまま見た。第二話までしか見ていなかったが、その後、話は大いに変転し、かなり面白くなっていたらしい。第三話以降も全て録画してあるので、見直してみてもよいかもしれない。
そして今宵は、「アド街ック天国」を久し振りに見た。取り上げられていたのは長崎ハウステンボス。今や九州一の観光名所になっている由。実に素晴らしい。
ここで不図、郷里の宮崎シーガイアと比較すると悲しくなる。先見の明の差を感じるが、その差の根幹にあるのは実は地域の歴史への認識の差ではないのだろうか。長崎はもともと和蘭や清国との交渉の窓口であり、西洋文化に近しい歴史を持つから、オランダ村ハウステンボスという企画に違和感がない。
宮崎は昭和の戦前から戦後にかけて、天孫降臨の高千穂の地であることを主張し、山幸彦と海幸彦の神話の舞台でもある青島海岸(日南海岸)を中心に、神話の故郷という主題に沿った観光地の整備を行った。平成の宮崎は、それを過去の栄光の遺物にして放置してしまわないため、むしろそれを甦らせるため、青島海岸、青島海水浴場の再生、神話の故郷の復興を推進すべきだったろう。少なくとも遊泳禁止の一ッ葉海岸に人口の海を造営するような矛盾した計画よりは、無駄もなく、県民の共感も得られ易く、現実味もあったはずだ。