仮面ライダードライブ第九話

平成「仮面ライダー」第十六作「仮面ライダードライブ」。
第九話「どうすればクールボディになれるのか」。
新たに登場したシフトカーの「シフトテクニック」を用いて新たな仮面ライダードライブの形態、「タイプテクニック」に変身するためには、「クールな心」が必要である…という設定になっている。ベルトさん(声:クリス・ペプラー)からそのように聞かされていた警視庁特状課巡査、泊進ノ介(竹内涼真)は、クールという語の意味を勘違いしてしまい、全く変身できないで苦戦を強いられたが、やがて別の攻撃方法で上手く切り抜け、時間を稼いでみせた。面白いことに、ベルトさんはその戦い方を「実に知的でクールな攻撃方法だったね」と評価した。泊進ノ介はそれを嫌味な皮肉と捉えてしまったが、むしろベルトさんなりの助言、「ヒント」だったと見ることができる。
しかしベルトさんはどうして率直に説明してくれなかったのだろうか。タイプテクニックに必要な「クールな心」とは、格好よい振る舞いの類ではなく、冷静な判断と思考の類であるということ。そのことを最初から素直に説明しておいてもよかったのに…と思わずにはいられない。しかし思うに、そのように説明した場合の泊進ノ介は、真に心から冷静に行動するよりもむしろ冷静な行動を気取って却って冷静ではなくなってしまう恐れがあるというのが、ベルトさんの診断だったのではないだろうか。
実際、街の「発明おじさん」になり済ましていたボルトのロイミュードあご勇)が、この「発明おじさん」を慕っていた機械好きの少年、野崎輝彦(細川晴太)に対して卑劣な仕打ちをして面白がっていたのを見たとき、泊進ノ介は、怒りに燃えながらも激情で取り乱すようなことにはならず、逆に、敵に対する冷徹な姿勢に因るものか、冷静な精神を強化してみせた。そのとき彼はタイプテクニックを実現した。泊進ノ介に本気を出させるためには、彼を叱咤激励するのではなく、彼が自力で本気を出すときを待たなければならないということだろう。
ボルトのロイミュードは謎の放火事件の犯人だったが、その狙いは放火それ自体にはなく、街の人々の生活の中にある電気製品から電気を奪い、蓄積することにあった。奪ったはずの電気が手違いで逆流して、出所である電気製品を瞬時に熱してしまったことが放火の原因だったのだ。云わば副産物だった。そして電気を盗んで集積することの意味は、電気を集積した乾電池のようなもの(?)を、ロイミュードの首領、ハート(蕨野友也)に献上することにあった。ブレン(松島庄汰)は、現時点ではそのことの意味を理解していないらしい。ハートが何か特別な存在であるらしいことが判る。
他方、死神チェイス上遠野太洸)は(前回の事件で)人間を撃とうとしても撃てなかったことについて今なお自問自答し、苦悩していた。このことが何を物語るのかは、徐々に近々明かされてくるのだろうか。