少年合唱団の独唱者名

アルノンクールとレオンハルトによるバッハ教会カンタータ全集CD六十枚組の内、BWVの20番代から40番代までの作品群の大半をデジタル化してウォークマンに収納した。
この辺の録音では、アルノンクールはウィーン少年合唱団を起用しているが、付録の解説書を見ればソプラノやアルトの独唱者の名が「ウィーン少年合唱団の独唱者」としか記されていない。例外はソプラノのペーター・イェーロジッツだけだろうか。その名が最初に明記されたのはBWV41以降(ただし今から約十五年前に発売された日本語版の解説書によればBWV41-42でも「ウィーン少年合唱団員」名義)。
のちにテルツ少年合唱団を起用した際には独唱者の個人名も明記されているし、テルツ少年合唱団を起用した上で独唱者にウィーン少年合唱団員ペーター・イェーロジッツを迎えた場合には無論その名を記してある。30番代までの初期の録音において見事な独唱を聴かせたウィーン少年合唱団員の名が伝えられていないのは実に気の毒なことだ。
他方、レオンハルトは初期の録音ではケインブリッジのキングズカレッジ聖歌隊やテルツ少年合唱団を起用し、やがてハノーファー少年合唱団を一貫して起用するようになったが、ハノーファー少年合唱団を起用し始めた当初、独唱者にはテルツ少年合唱団員ヴァルター・ガンパートやゼッピ・クロンヴィッターを起用していた。その間、ハノーファー少年合唱団員を独唱者に起用した場合にはやはり「ハノーファー少年合唱団の独唱者」としか記していない(BWV39)。個人名を明記するようになったのはBWV73以降。
独唱者を別の合唱団から迎えたり、独唱者の名を記さなかったりするのは一体どのような事情によるのか判らないが、色々気の毒に思われてくる。