名犬ラッシー

夜、『藤子・F・不二雄大全集』の『名犬ラッシー』を漸く読み始め、一気に読み終えた。
アメリカの名作テレヴィドラマを漫画化した『名犬ラッシー』の存在を予て知っていたが、待望の復刊によって初めて読み得た。話を作ったのは藤子不二雄ではないわけだが、幸か不幸か原作をよく知らないので、いかにも藤子・F・不二雄らしい作品であるように感じられ、大いに楽しめた。反面、なかなか悩ましいのは画風に安定感がない点で、多分、これはAとの合作であるからだろう。ジェフ少年やラッシーの姿には藤子・F・不二雄の個性が表れていると思われるが、途中から新たな主人公として登場するティミー少年の容貌の設定は(設定のみは)Aの関与を窺わせるし、所々、Aが描いたとしか思えない表現がある。思うに、合作の体制を解消していなかった当時は、藤子・F・不二雄とAが互いに画風を似せる習慣もあったろうか。