妖怪サンデーパパの矛盾と解消/ケータの意外な過去/ガブニャン反省
ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)で第九十話の配信あり。
ケータの話が二つ、コマさんタクシーが一つ(第四回)。ケータの話ではジバニャンとウィスパーが常に一緒にいた。
妖怪サンデーパパ事件。
土曜の夜、ケータの家族の豪勢な夕食の席でケータの父は翌日に遊園地へ行くことを約束していたにもかかわらず当の日曜にはその気を殆ど喪失していた。平日の仕事で疲れ果てていたということも背景にはあるのだろうが、むしろ妖怪サンデーパパに憑かれた所為だった。サンデーパパは大勢の集団。そこには上下関係もあり、それぞれ役割を果たすべく人間界の大勢の父親に憑いている。
サンデーパパ群には複雑な性格がある。彼等は仕事で疲れている世の父親たちを休日には休ませたいと考えている。だから休日の家族サーヴィスを怠けさせ、妨害してしまう。しかし彼等はそれを仕事として担っている。「ノルマ」を達成できればサンデーパパ組織内で昇給も昇格もあるらしい。彼等が人間界の父親たちを怠けさせているとき、彼等は実は休みなく働いている。矛盾してはいないか。
この矛盾を最大化させたのは、ケータの父が遊園地で会社の部長、さらには社長にまで遭遇してしまう事態の発生だった。ケータの父も、その上司にあたる部長も社長も、それぞれ家族サーヴィスのために遊園地に来ていた。そして三名ともそれぞれサンデーパパに憑かれていた。サンデーパパ三名の地位の差は、憑かれている人間三名の地位の差に対応していた。ケータの父が部長に逆らえず、部長が社長に逆らえないのと同じ関係が、サンデーパパ三名の間にも成立していた。ゆえに社長が遊園地から逃れて酒でも飲みに行かないかと誘ったとき、社長に憑いているサンデーパパもそれを良いことであると思っていたに相違ないが、部長もケータの父も会社における上下関係の中で仕事に準ずる指示として受け止めていたし、部長とケータの父それぞれに憑いているサンデーパパも同じように受け止めていたろう。仕事から解放されて休日を満喫するために家族サーヴィスからも逃れようとしていたのに、却ってもっと濃厚な仕方で仕事に引き戻されるという矛盾がここで生じていた。実のところ、仕事における人間関係が私生活の場にまで持ち込まれるという事態は、通常の仕事よりも一段と疲れる状態ではないのか。
そのことをよく表していたのは、社長が姿を現した直後に、部長がケータの父に対して社長のために茶を持ってくるべく指示を出した場面だろう。これが会社内の出来事だったなら、茶を準備するのは大して難しくはない。会社の給湯室にでも行けば社用の茶があるはずであるから。だが、ここは遊園地であり、社用の給湯室なんかない。茶を出すためには園内の自動販売機ででも買って来るしかないが、自動販売機が近くにある保証はなく、遠くまで探し歩かなければならなくなるかもしれない上、そもそも茶を買うための経費はどこから出るのか。まさか、ケータの父が自腹を切るということか。あの場面で部長が自身の財布を取り出してケータの父に金を委ねる描写でもあれば納得できるところだが、そうではなかっただけに、何とも理不尽に思われてくる。部下社員が部長や社長のために茶を奢るとは、何と矛盾した事態だろうか。
幸い、ケータの父の会社では、社長が部長とは違って正常な人間だった。家族と一緒に夕食に行く約束があることを理由にして社長からの誘いを断ったケータの父を、社長は褒め称え、激励した。愚かな部長も、ここで漸く正気に返ったようだった。そしてサンデーパパ三名も最悪の事態を避けることができて安心したようだった。否、むしろこれこそがサンデーパパの本領発揮だったろうか。
妖怪おもいだスッポン事件。
ケータが小学四年生だったとき女子たちに虐められていたことが判明した。酷い奴等だった。そうした中でフミカはケータに優しくなってきている。フミカの源静香化と云ってよいかもしれない。ケータも今回は野比のび太に近付いていたと云えるのかもしれない。
コマさん懺悔タクシー第四回。
今回の乗客はガブニャン。一年前にガブニャンハザードを(ケータの夢の中で)惹き起こした少し怖い妖怪。当時に比較して何となく印象が違うのは、牙を外していたから。そして普通に流暢に語っていたから。吸血鬼風のマントも外していた。
ガブニャン自身の説明によれば、牙の大きさには五段階があり、一年前に使用していたのは第三段階の、云わばレベル3の牙。レベル5ではなかった。視聴者を怖がらせないように、ガブニャンも一応は遠慮していた模様。
それでも多くの視聴者を怖がらせたことについて、ガブニャンは一応「反省」したが、その直後、コマさん&コマじろう兄弟をまとめてガブニャン化させてしまった。全く反省の色なしという結末。