仮面ライダーゴースト第十八話
平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第十八話「逆転!神秘な科学!」。
眼魔界の王子アラン(磯村勇斗)は人間界に長らく滞在してきたにもかかわらず人間たちをまるで観ていなかったらしい。人間というもの全般を軽蔑しているようであるから、そもそも観るには値しないと思っていたのだろう。
アラン王子が仲間と認めて信頼し、慈しみ得る人間は、今のところは深海カノン(工藤美桜)とその兄の深海マコト(山本涼介)の二人だけ。だからこそ深海マコトが天空寺タケル(西銘駿)の側へ戻ったことをアラン王子は許し難く、ゆえに彼は深海マコトをネクロムスペクターに変えて強引に己の側へ引き戻しておいた。仲間だった者に対する仕打としてはあまりにも酷いが、アランにとってはそもそも人間の側にあること自体が酷いことであるのだから、そこから眼魔界へ強引にでも引き戻すことは充分、友情の表れであり得る。
しかるに、深海カノンに連れられて人間界を歩く中でアラン王子は、眼魂のような形をしたタコヤキというものを嬉しそうに食べる深海カノンの姿を観て驚いたばかりか、互いに慈しみ合う若い男女や子供連れの家族や老夫妻の様子を観るに至って、混乱し、苛立ち始めた。果たして人間は本当に否定されるべき存在であるのか、解らなくなってしまったように見受ける。
アラン王子が、深海カノンへの好意を通じて、やがて人間界への理解を深め、愛を抱き始める気配が濃厚になってきたと云える。
それにしても、アラン王子の兄である王世子アデル(真山明大)やアデル配下の御用科学者イゴール(山本浩司)は、どうしてアラン王子を苛め続けるのだろうか。ジャベル(聡太郎)には一応、王子に対する敬意があったが、イゴールにはそれさえもない。あんな酷い仕打を続けて、アラン王子が敵側に寝返る原因になりかねない事態を日々積み重ねているようにしか見えない。北風と太陽の寓話も知らないのだろうか。
イゴールは月村アカリ(大沢ひかる)を助けるべく身代わりになって倒れた御成(柳喬之)の魂を「純度が低い」と云ったが、イゴールによれば「純度が高い」魂というのは恐怖に怯えているときの魂であるようで、従って御成は、月村アカリを庇っていた瞬間、何一つ恐怖心を抱いてはいなかったと判る。普段はあんなにも臆病であるのに。この一点だけでも、その魂は英雄に近い。