仮面ライダーゴースト第二十六話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第二十六話「葛藤!決断の条件!」。
古文書に基づいて現代科学を超越した発明をなし遂げるキテレツ大百科の如き天才科学少女、月村アカリ(大沢ひかる)が創り出した「中和剤」によって、深海カノン(工藤美桜)が救われ、次いでアラン(磯村勇斗)も救われた。そして今度は、アランが月村アカリを救った。しかも「御姫様抱っこ」形式で。今や天空寺タケル(西銘駿)とアランの共闘が必然と化した。完全に息の合ったところをも見せた。眼魔界の御用科学者イゴール山本浩司)が「おやおや、すっかり仲良しだ」と呆れた程に。
他方、眼魔界にも動きがあった。新たな「大帝」を僭称する王世子アデル(真山明大)は、「大帝陛下」アドニス(勝野洋)を幽閉していて、そこには誰も近付かせないようにしていたが、姉アリア(かでなれおん)は、父がそこに生きているはずであると見抜いた。しかるに探り当てられたアドニスは、アリアを敢えて遠ざけたばかりか、どういうわけか、アリアに「アデルを頼む」と告げた。これは、アデルを信頼して後見すべしとの意味にも取り得るが、むしろアデルの野望を阻止すべしとの意味にも取り得る。本意は何れか。
一つ明らかであるのは、アドニスのこの言を、アリアは信じ難い言として受け止めていた様子であること。換言すれば、アリアはアデルを全く信頼していない。そればかりか、アリアは今なおアランと通じていた。
アドニスの最も信頼する友である眼魔世界長官イーディス(竹中直人)。かの仙人(竹中直人)と瓜二つのこの宰相も、やはりアデルを信用していない。驚かされたのは、イーディスがアデルを「大帝閣下」と呼んでいたこと。無論、大帝の称呼は「陛下」であって「閣下」ではない。イーディスはアデルを「陛下」どころか「殿下」よりもさらに下に見ていると判明した。アデルは何も咎めなかったが、この態度には不敬どころか敵意をも感じないわけにはゆかない。イーディスもまたアドニスの生存を確信しているから、真の帝位がアデルにはないこと、そしてアデルが帝位を簒奪した逆賊でしかないことを認識しているのだろう。
魔界が一体どのような世界であるのか?について、月村アカリがアランに問いかけた場面は、なかなか興味深かった。「大帝」アドニスを「選ばれし者」と形容したアランに対して、月村アカリは「誰が選んだの?」と詰問したが、確かに、完全に「管理」された世界として眼魔界が存立するためには「管理」をなし得る者が必要であり、しかるに完全な管理は完全な把握を前提すると仮定するなら、眼魔界の管理者は眼魔界の構造も細部も全て把握しているのでなければならないが、そのような知者は当の世界の内部にはあり得ない。その世界の上位に、外部にあるに相違ない。眼魔界を支配しているはずの「大帝」さえもが何者かに選ばれたのであるという点から考えても、そう考えざるを得ない。月村アカリは大変な真相を探り始めているのではないのか。