仮面ライダーエグゼイド第二話

平成仮面ライダー第十八作「仮面ライダーエグゼイド」。
第二話「天才二人は no thank you?」。
この物語は、「ウィルス」という語の二義性に基づいて構築されていて、云わば駄洒落を唯一の基盤として成立している。仮面ライダーは医師であり、病気の原因をなすウィルスから患者を守るために戦うが、戦いの方法は、一応は手術(「オペ」)と呼ばれているとはいえ実際にはコンピュータを用いた携帯型ゲームの中で敵を倒すことであり、ゆえに仮面ライダーに求められる能力は「天才ゲーマー」であることでこそあれ、優れた医師であることではない。
主人公の仮面ライダーエグゼイド=宝生永夢(飯島寛騎)が、医師としては未熟な小児科の「研修医」ではあってもゲームには強い「天才ゲーマー永夢」であることは第一話で明かされた。それに続く今回は、ライヴァルとして仮面ライダーブレイブ=鏡飛彩(瀬戸利樹)が登場した。外科医として秀でている上、病院長をつとめる鏡灰馬(博多華丸)の子息でもあり、病院内で立場が強く、ゆえに小児科の未熟な研修医でしかない宝生永夢を(今のところは)馬鹿にしている。
戦闘はあくまでも手術であってゲームではない!というのは鏡飛彩の主張であり、この主張一つによって鏡飛彩の強さが説明され、同時に宝生永夢に弱さが付加されているが、無理がある。そこで制作者は「天才二人」の対立する点をもう一つ呈示している。鏡飛彩が医療を単なるウィルス=「バグスター」退治の戦闘技術としか見ていないのに対し、宝生永夢は医療を患者の心身両面に向き合うことであると見ている点に他ならない。なるほど、この一点において、鏡飛彩にとって手術はゲームでしかなく、鏡飛彩はゲーマーでしかないことが判明し、話が上手くまとまってくる。同時に、宝生永夢には医師として普通に成長する余地が生じている。実際、バグスターに身体を占拠される病気である「ゲーム病」の主な原因がストレスであるらしいことを、彼は発見しつつある。それは医学上の重要な業績であり、「天才ゲーマー」の領分を超えている。