氷菓コミカライズ版第一巻
米澤穂信原作/タスクオーナ漫画/西屋太志キャラクター原案『氷菓』コミカライズ版(角川コミックス・エース)。
第一巻。折木奉太郎と千反田える、福部里志が古典部を復活させる話から、三人で謎の団体「女郎蜘蛛の会」のポスターを探し出す話、古典部の文集『氷菓』を探すため折木奉太郎と千反田えるが図書館を訪ね、そこで伊原摩耶花と福部里志が直面していた小さな事件の謎を解く話を経て、日曜の朝、街の喫茶店で千反田えるが折木奉太郎に「一身上の都合」について「告白」を始める話まで。
このコミカライズに際してタスクオーナは京都アニメーションから当時まだテレヴィ放映直前だったアニメ「氷菓」の資料を提供され、それに「準拠」したことを後書に記している。確かに、キャラクターデザイン原案だけではなく、色々アニメ側の表現を想起させる。しかし同時に、アニメ側にはない表現や説明も追加されている。もちろんアニメ側にしかない表現も少なくない。
一つ気になったのは、81頁、神山高等学校の校舎内にある掲示板の箇所数について福部里志の説明と千反田えるの説明が全く噛み合っていないこと。福部里志の計算を否定して千反田えるが正しく計算してみせているが、その計算は福部里志が提示したデータを踏まえていないから意味をなしていない。さらに82頁では「全部で三十ヶ所」という結論が出ているが、両者の計算からこの結論がどのように導かれたのかも判らない。些細な部分ではあるが、大いに「気になる」。原作では完全な説明が得られるのだろうか。