氷菓コミカライズ版第二巻
米澤穂信原作/タスクオーナ漫画/西屋太志キャラクター原案『氷菓』コミカライズ版(角川コミックス・エース)。
第二巻。これに収録されているのは、日曜の朝、街の喫茶店で、千反田えるが折木奉太郎に、関谷純の謎について相談する話から、数学の授業で千反田えるを怒らせた小さな事件の真相を解明する話、折木奉太郎が遠垣内将司の秘密を見破り、さり気なく脅迫して壁新聞部内に蔵されていた古典部の文集『氷菓』のバックナンバー全部を届けさせる話を経て、神田の豪農、千反田家の広壮な邸宅に折木奉太郎、福部里志、伊原摩耶花が集い、千反田えるの司会進行の下、それぞれ持ち寄った資料に基づいて四十五年前の関谷純の謎、古典部と『氷菓』の謎に迫ってゆく話まで。
突然の雨を受け、千反田えるが庭に干していた椎茸を急ぎ家の中に取り込んでいる間に、折木奉太郎が洗面所に籠って一人で推理に没頭し、あらゆる資料の記述を総合し得る一つの仮説に到達しようとしていたところで第二巻は終わり。第三巻へ続く。
この第二巻が発行された時点では既にテレヴィアニメ「氷菓」は十話以上の放送を終えていたことが後書に記されてある。それだからか、漫画の内容は一段とアニメに準拠しているようだが、同時に、台詞に関しては原作者の監修を受けていて、原作における長い台詞を的確に短く切り詰めたり、原作にはなかった語を適切に補ったりしたらしい。なるほど、そうなるとコミカライズ版には独自の重要性があると再認識される。