氷菓コミカライズ版第七巻/河内亜也子の真意
米澤穂信原作/タスクオーナ漫画/西屋太志キャラクター原案『氷菓』コミカライズ版(角川コミックス・エース)。
第七巻。
神山高等学校文化祭(カンヤ祭)の一日目、クイズ研究会主催「クイズ・トライアル7」で福部里志が古典部の文集『氷菓』を宣伝している間、千反田えるは壁新聞部の遠垣内将司に古典部の宣伝を依頼して断られ、占い研究会の十文字かほに声をかけられる話から、古典部で店番をしている折木奉太郎が園芸部を迎えている間、漫画研究会では伊原摩耶花が河内亜也子と衝突を始める話、漫画研究会における河内亜也子との「乙女の戦い」に勝つため、伊原摩耶花は切札となるべき傑作漫画『夕べには骸に』を家で探したものの、見付からない話、神山高等学校文化祭(カンヤ祭)の二日目、伊原摩耶花が宿敵と見ていた河内亜也子が意外にも伊原摩耶花を自身に次ぐべき「漫画研究会が誇る職人」と認め、自身の手伝いを求めている間、総務委員会の一員でもある福部里志は総務委員長の田名辺知朗から怪盗の出現について知らされ、千反田えるは映画「万人の死角」絶賛上映中の会場で入須冬実に文集『氷菓』販売の協力を依頼するとともに、依頼の仕方について指導を仰ぎ、古典部で店番をしている折木奉太郎はハロウィンのカボチャに扮した製菓研究会の二人組に文集『氷菓』一冊と交換でビスケット二袋を買い、おまけに小麦粉一袋を押し付けられる話を経て、お料理研究会主催「ワイルドファイア」で福部里志が豚汁を作り、千反田えるが「ぎせ焼き」をはじめ四品を鮮やかに次々作ってみせ、そうして食材を使い切ってしまった結果、漫画研究会における役目を片付けて漸く駆け付けた伊原摩耶花には打つ手がなく、迷っているところへ、折木奉太郎が珍しく大きな声で招いていることに気付く話まで。
第六巻の後半から始まった神山高等学校文化祭(カンヤ祭)の第一日目は、第七巻の前半まで続き、第七巻の後半からは第二日目。
お料理研究会「ワイルドファイア」には天文部の代表として沢木口美崎が再登場(名前だけ登場した「金曜日の学校史」事件も含めれば三度目の登場)。入須冬実、遠垣内将司も再登場で、十文字かほが初めて登場(十文字家の名は早くに登場していた)。
色々な人物が続々登場して話が盛り上がるが、何といっても印象深いのは漫画研究会の河内亜也子。伊原摩耶花にとっては恐るべき宿敵だが、実は伊原摩耶花の才能と見識を最も高く評価して信頼しているのは多分、河内亜也子だろう。「乙女の戦い」を仕掛け、「漫画研究会が誇る職人」の役目を負わせた事実がそのことを雄弁に物語る。