喰いタンKUI-TAN第四話

日本テレビ土曜ドラマ喰いタンKUI-TAN」。寺沢大介原作。伴一彦脚本。小西康陽音楽。主題歌=B'z「結晶」。次屋尚&山本由緒プロデューサー。和田豊彦&井下倫子協力プロデューサー。アベクカンパニー制作協力。位部将人演出。東山紀之主演。第四話「毒入り鍋を食い倒す!?」。
正直なところ前半を見ていた時点では幾つもの話題が次々ブツ切りに並べられるばかりで一向に全体像が結ばれなくて何とも苛々させられたが、物語の半ば頃、出水京子(市川実日子)と野田涼介(森田剛)が山田房枝(草村礼子)の行方不明の孫、幸平(田中聡元)より事情を聴取するや一気に全ての点が一直線に繋がって視界が開け、謎は解かれた。鮮やかな変化だったが、ここまでの時点ではドラマの主人公、食いしん坊の探偵「KUI-TAN」こと高野聖也(東山紀之)に出る幕はなかった。なにしろ彼は、同じ頃、先に野田涼介や金田一少年=かねだはじめ少年(須賀健太)とともに訪れていた美人谷温泉を再び訪れて暢気に過ごしていた。だが、余りにも悠々として少々謎めいてさえいる彼の行動に意味がないはずがない。実際、出水京子や野田涼介が山田幸平の問題に気を取られていた間、既に高野聖也は問題の本質が全て山田房枝の内面にしかないだろうことを見抜いていたのだ。鮮やかな展開だったとさえ思える。
悪徳金融業者「更級金融」(略してサラ金)のドン、松本静夫(浜田晃)を殺害するため雪見鍋にトリカブトを仕込もうとしていた山田房枝。でも、料理をしながら思い出していたのは、高野聖也を相手に語り合った食の喜び、食材への感謝の話だった。このとき既に殺害計画を断念する気配さえも生じていたのが明白だった。こうして前半どんなに混乱していようとも最後には必ず安堵や満足を与えてくれる存外よくできた物語なのだ。
なお、美人谷温泉の旅館にいた仲居は大島蓉子。次週予告を見たところ何となく高野聖也が拳銃から発砲された弾丸を箸で受け止めてしまいそうな感じだった。これは見逃せない。