Mの悲劇

TBS日曜劇場「Mの悲劇」。石井康晴演出。橋本裕志脚本。稲垣吾郎主演。第八話。
こんなにも凄惨な展開を見せようとは予想できていなかった。今宵の最大の見せ場が、一連の騒動の発端となった傷害事件の犯人、薮本(渡辺卓)に対する久保明佐々木蔵之介)の反撃にあったのは云うまでもない。あの怒りの表情の恐ろしかったこと!本当に人を殺しかねない目付きだった。
他方、幾つか意外な事実が明らかになった。例えば石橋を叩いて渡る用心深い小心者の安藤衛(稲垣吾郎)と婚約していた島谷有紀(岡本綾)は、彼と交際し始めてからも暫くの間は、元恋人の下柳晃一(成宮寛貴)との交際を続けていたのだ。所謂「二股交際」だったのだ。しかも安藤衛と付き合い始めたのは単に父の島谷隆太郎(伊武雅刀)を喜ばせたかったからだった。島谷専務は部下の安藤衛の営業と企画の力量を高く買っていたのだ。要するに島谷有紀が安藤衛と交際したのは打算に過ぎなかった。真の愛は下柳晃一に向けられていたわけなのだ。
下柳晃一に関しても意外な事実が見えてきた。下柳晃一が重大に悩んでいたのは、彼が安藤衛を攻撃したからではなく、攻撃されている安藤衛を見殺しにしたからだったらしい。彼は普通の善人ではないのか。
ともかくも一連の騒動の黒幕は予想通り久保明だったが、島谷専務と相原美沙(長谷川京子)の関係や、下柳晃一と薮本の関係については謎が残されているし、久保明と中西瞳(吉岡美穂)とがどのように共謀してゆくのかも気になる。