anego・アネゴ

日本テレビ系ドラマ「anego・アネゴ」。林真理子原作。中園ミホ脚本。吉野洋演出。制作協力オフィスクレッシェンド篠原涼子主演。第二話。野球中継番組の三十分延長により夜十時からの放送。
考えさせられた。考えさせる内容だった。世の中には現実を望み通りの方角へ好転させるために敢えて非常手段に訴えるのを辞さない強硬な人々がいるものだが、そういった強引な手法で周囲を変動させることで結果として自身をも危機に陥れることになるかもしれない恐れを、どうして彼らは予感しないのだろうか?鋭い刃物を振り回せば己をも傷付けるだけだろうことを彼らは想像しないのだろうか?その種の人々を傍から見ていて心配せざるを得なくなることが少なくないが、実のところ今回この物語の主人公「アネゴ」=野田奈央子(篠原涼子)が見舞われた状況はそれだった。解決し難い問題を一気に解決するため尋常ではない手段に訴えて、そのことによって自分自身の内面に癒し難い傷を付けてしまったわけだ。その傷の深み、痛みを想像することは、組織の中で日々誠実に働いている人間にとっては決して難しいことではない。野田奈央子の悲しさ、悔しさには充分に共感できるはずだ。
だが、面白いことに新入社員の黒沢明彦(赤西仁)は、組織の一員として生きていることによってその悲しさ、悔しさに共感したのではなく、むしろ逆に、悲しさ、悔しさを理解しようとすることによって組織の一員であることの意義を見出したらしい。彼は野田奈央子を「アネゴ」として慕い、常に熱い視線を向けているから、野田奈央子の問題解決の裏に何か尋常ではないものがありそうだということを感じ、故に組織全体の危機に直面して尋常ではなく落ち込んでいる野田奈央子の様子を見て強烈に心動かされたのだろう。
冒頭のスーパーマーケットで両名が遭遇した場面、黒沢明彦の妙に好意的な言動の裏に別の意味を読み解こうとする野田奈央子と、実際には裏など何もなく率直に好意を表明しているだけの黒沢明彦との対比が面白かった。それにしても専業主婦の沢木絵里子(ともさかりえ)があたかも夫の沢木翔一(加藤雅也)を野田奈央子と不倫させようと仕掛けるかのように行動してしまうのは何だろうか?狙いが何かあるのだろうか。で、野田奈央子の同僚で年齢も近い加藤博美(戸田菜穂)は実は直属の上司の阪口部長(升毅)と不倫の関係にあったのか。