瑠璃の島

日本テレビ系-土曜ドラマ瑠璃の島」。第五話。
最後の、藤沢瑠璃(成海璃子)が仲間勇造(緒方拳)と妻の仲間恵(倍賞美津子)、謎の居候の川島達也(竹野内豊)の前で三線を奏でてみせた場面が面白かった。瑠璃が何時の間にか三線の演奏法を身に付けていたことに驚いて俄かには言葉も出なかった勇造。予想外の事態が起きたことの楽しさに満面の笑みだった恵。期待通りの展開になって面白がっていた川島。平和で長閑な日常の中の小さな幸福の出来事だった。
今宵の話は斉藤茂(賀集利樹)と中嶋美月(井川遥)の関係に焦点を合わせた。斉藤茂は全て何事からも逃走し続けてきた人生だったらしい。そんな彼のことをも殆ど一方的に愛してくれる美月との交際は、彼にとっては心地よい避難所だったのだろうか。だが、二人の間に子が生まれ、従って彼にも父親としての責任が求められることになったと知るや、彼はそこからも逃走しなければならないと考えてしまったのだ。逃走し続ける生はどこにも安住の地を定め得ないのだろうか。本心から逃走したかったからであるのかどうか定かではない。逃走それ自体が目的と化していたようにも思える。とはいえ、孤独な生であり続けた美月にとって茂が漸く見出した唯一の拠り所だったように、恐らくは茂にとっても、逃走し続けて孤独であるほかなかった生の中で見出した唯一の拠り所が美月だったろう。二人は二人であるほかないのだ。
なお、茂が泳いでいた姿は溺れていたように見えたが、あれは茂という人物が泳ぎを不得手にしているという設定なのか、それとも実は茂の役を演じる賀集利樹が泳ぎを不得手にしているだけなのか。