曲がり角の彼女

フジテレビ系ドラマ「曲がり角の彼女」。稲森いずみ主演。第十一話=最終回。十五分間延長の拡大版。
ホテル「グランフォート」経営上の危機の只中、競合するホテル「クレストリッチ」に引き抜かれた大島千春(稲森いずみ)に対して副社長の甲本一樹(要潤)が「また引き抜き返すから」と言い放った。これだけで充分この最終回は面白かったと結論できるが、そのあとの会話も面白かった。「何時かグランフォートを立て直して、リゾート・ホテル計画もやり直して、誰と結婚しようが誰にも文句を云わせない位になってやる。だからそれまで…」と続けた甲本に、千春は「一年後に迎えに来て」と応じた。「一年じゃ無理だ」と自嘲した甲本に対して千春がなお「一年で頑張って」と厳しく言い渡したのを見れば、これが千春ならではの激励であるのは明白だ。甲本は父祖代々の名門ホテルをわずか一年で再建するため、千春は引き抜き返されるに値するだけの人材に成長するため、それぞれ頑張って働いてゆくに違いない。こうして全十一話に渡り最初から最後まで一貫して前向きで楽しいドラマだった。結局この物語における「曲がり角」の意味は、その先に何があるか見えなくとも希望を忘れることなく前向きに、前進して最善を尽くしてゆくことにあったのだろう。