ドラゴン桜

TBS金曜ドラマドラゴン桜」。阿部寛主演。三田紀房原作。秦建日子脚本。小松隆志演出。制作MMJ&TBS。第七話「見返してやる!東大模試!」。
龍山高等学校理事長の龍野百合子(野際陽子)の何と愚かなことだろうか。偏差値三十から始めて東大を目指し始めた龍山高校「特進クラス」の受験勉強に興味を持った放送会社の取材班に対し、理事長は許可を与えた。理事長自身がテレヴィに出たかったからだったが、影響は甚大だった。龍山高校「特進クラス」の矢島雄介(山下智久)・水野直美(長澤まさみ)・奥野一郎(中尾明慶)・緒方英喜(小池徹平)・香坂よしの(新垣結衣)・小林麻紀(サエコ)が一躍有名になってしまった上、この計画自体に世間の過度の好奇心や期待感が注がれたことで云わば背水の陣を敷かされたのだ。
だが、龍山高校「特進クラス」の主宰、桜木建二(阿部寛)は逆手に取った。取材陣の眼前、彼は大演説を繰り広げた。「いいか、学校っていうのはな、云うなりゃ切符売り場だ。目的地までの切符を決めて買うのはお前らだ。だがな、俺の売っている切符はそこらの安物切符とは訳が違う。東大行きっていう超極上のプラチナチケットだ。こいつを買えばな、旅の初めは大変だが、あとには見事な絶景と快適な列車が待ってる。問題は買うか買わないかだ。買わなきゃ、お前ら、一生、断崖絶壁を鈍行列車で走るんだ。答えは買うに決まってる。それじゃ、東大の中で最も簡単に入れる学部を、俺がお前らに教えてやる。その学部とはな…」。…と、ここまで語ったところで彼は取材陣を教室外に追い出した上で、教室内の生徒たち六人にのみ奥義を授けた。「さて、お前らが受ける学部は、ここだ!」「東大理科一類。ここ以外には考えられん」。「なぜ文系を受けないのか?というと、文系受験の場合、英・国・数・社の四科目。英・国はみんな点を取ってる。ハイレベルで点差が付かない。社会の問題は論文形式で、効率よく点数を取る勉強法がないんだ。つまり文系は、地道な暗記と理論的思考態度、永い間の勉強の積み重ねが必要なんだ。一年じゃ無理だ」。
このほか、龍山高校「特進クラス」各教科の特別講師陣、芥山龍三郎(寺田農)・川口洋(金田明夫)・阿院修太郎(小林すすむ)・柳鉄之介(品川徹)の演説にも威力があった。「ルールを守る人間こそ独創的で個性的な人間なのです」と口火を切った芥川に続き阿院・柳・川口も基礎と規則の不可欠であることを力説したのは今宵一番の見所だった。