ウォーターボーイズ2005夏

フジテレビ系ドラマ「ウォーターボーイズ2005夏」は昨夜九時から二時間で前半、今宵九時から二時間で後半、合わせて四時間にわたり放送されたが、最後一時間だけしか見ていない。ともかくも思うのは、原作とされる二〇〇一年公開の映画「ウォーターボーイズ」本来の疾走し暴走するB級の面白味はテレヴィドラマ版の何れにも欠けているということだ。二〇〇三年のテレヴィドラマ「ウォーターボーイズ1」はその点では特に駄作だったが、今作はその続編。主人公は「ウォーターボーイズ1」におけるボーイズの主要の一員、田中昌俊(瑛太)。でも彼は今回もはやボーイズの一員ではない。シンクロ公演を実現させる上原賢作(小出恵介)・名嘉尾悟(平岡祐太)・小間俊一郎(柄本佑)以下ボーイズ計二十四名が主ではないという本末転倒の事実には驚かされる。ボーイズが奮闘しているだけに、彼らが脇役でしかないという理不尽の扱いには憤りを覚える。傑作B級映画ウォーターボーイズ」は三度にも及んだテレヴィドラマ化を通して本来の主題の空洞化をも来たしたらしい。
とはいえ名嘉尾悟役の平岡祐太はサワヤカだった。映画「ウォーターボーイズ」の姉妹作「スウィングガールズ」における平岡祐太の魅力を彷彿させた。そして今作ウォーターボーイズの一員、フェリー船員を生業とする青年、海人の役を演じた坊主頭の高良健吾は今年の「ごくせん」で黒銀学院3年D組の一員、船木健吾役で脚光を浴びた熊本美少年だが、流石に今宵シンクロ公演でも群衆の中で光り輝いていたし、田中昌俊船出を見送るときも船員の青い制服を着て敬礼して美麗だった。香椎由宇テレヴィ版「ウォーターボーイズ1」における優等生役よりも「女系家族」における矢島雛子役の方が似合っている。