久世光彦監督追悼特別企画・寺内貫太郎一家傑作選

夜九時からTBSでは今月二日に逝去された久世光彦監督への哀悼の意を捧げ、追悼特別企画「寺内貫太郎一家傑作選」を緊急放送した。この往年の傑作テレヴィドラマの初回や最終回をじっくり見せてくれたほか、同作品出演者の小林亜星樹木希林久世光彦監督の演出について思い出を語った。私的には「時間ですよ」も「寺内貫太郎一家」も見たことがなかったが、幼少時に「ムー一族」(1978年5月17日-1979年2月7日・TBS水曜劇場)を楽しんでいたからこの作品の雰囲気も何故か懐かしかった。そういえば雑誌「Cut」一四八号(二〇〇三年四月号)における「池袋ウエストゲートパーク」特集において堤幸彦監督は大先輩の久世光彦と対談し、久世光彦への殆ど崇拝にも近いような敬意を表し、対する久世光彦堤幸彦の「ケイゾク」や「トリック」における演出への感心や共感を語っていた(pp.58-61)。なるほど確かに今宵この番組を見て、「池袋ウエストゲートパーク」や「Stand Up!!」に描かれた家や街が、何となく「寺内貫太郎一家」の家や街に近いのを感じたのだ。久世光彦は同対談中(p.58)自身の「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」について「人間のおかしさとか、難しく言えば生きてる事のおかしさとか、そこはひっくり返せば悲しさでもいいんだけど、俺はそういうものをおかしく撮りたい」と述べていたが、両名の作風についてのこの上なく深い評言と思う。