功名が辻第十一話

NHK大河ドラマ功名が辻」。司馬遼太郎原作。大石静脚本。仲間由紀恵上川隆也主演。第十一話「仏法の敵」。
織田信長舘ひろし)は比叡山延暦寺の殲滅を決定。会議の席上、これに反対論を唱えた明智光秀坂東三津五郎)に対し、黙って主命を聞くのみだった木下藤吉郎秀吉(柄本明)。だが、戦闘が始まるや、主君の命を忠実に守り、旧知の親しい高僧をも情け容赦なく殺戮したのは光秀。秀吉は口実を設けては女子供を逃がしていた。光秀にとっての問題は鎮護国家の大道場に刃を向け火を放つことにあり、秀吉にとっての問題は罪のない者たちを大量に虐殺することにあったとも云える。戦後、信長は明智光秀に対し五万石を加増し、秀吉には一切の褒美を与えなかったが、両名の戦場での態度に鑑みれば当然の結果だろう。もちろん秀吉は悔しがってはいたが、部下の山内一豊上川隆也)・堀尾茂助(生瀬勝久)・中村一氏(田村淳)等の前で彼が、手柄を立てること以上に大切なこともある!と云ったのは彼の云わば正直な信仰告白だったに相違ない。比叡山上の女子供の殺戮の場で祖父江新右衛門(前田吟)と五藤吉兵衛(武田鉄矢)が主君の山内一豊上川隆也)を退けて代わりに執行しようとしたのも泣かせる。罪のない者たちの殺生の罪を主君に犯させたくなかったのだろう。
日本国王足利義昭三谷幸喜)が光秀に対し「ここは寒い。奥へ行こう」と誘ったのが淫らな意図に発するものであるのは論を俟たない。そして将軍義昭は火桶の灰にまみれて一人ドリフターズ状態に。
秀吉は敵方の有力武将に人質として差し出すため、甥の治兵衛(柴井伶太)を家に呼び寄せ、寧(浅野ゆう子)の発案で千代(仲間由紀恵)に読み書きを習わせたほか、秀吉の発案で山内一豊に槍術を習わせた。この田舎風で庶民的で素朴で純粋な子供、治兵衛がのちの関白左大臣豊臣秀次であるのは云うまでもない。ところで、成人後の秀次を演じるのは成宮寛貴成宮寛貴は二〇〇二年春の日本テレビ「ごくせん」でヤンクミ先生(仲間由紀恵)の生徒の一人、同年夏のNHK「少年たち3」で家庭裁判所調査官広川(上川隆也)の調査を受ける少年犯罪者の一人を演じていた。