仮面ライダーカブト第二十話

テレビ朝日系“スーパーヒーロータイム”ドラマ「仮面ライダーカブト」。水嶋ヒロ佐藤祐基主演。第二十話。
仮面ライダーサソードに変身する青年、神代剣山本裕典)の人物像については先週ここに少々大胆な一つの解釈を提起した。今朝の放送分についても前回と同じ見方を貫くことは決して不可能ではないと思う。少々難しいが、試みよう。第一に、神代剣が最高の家庭教師を求めていた件について。これについては先週の解釈のままで特に問題ない。英国の名門貴族ディスカビル家の嫡流に相応しい最高の教育を行いたいと願望する執事=通称「じいや」(梅野泰靖)の思いを一応は尊重しつつも同時にそれに要する費用を節約するためには、一度は教師を受け容れた上で能力の不足を理由に即時解雇するのが最善であると考えたに相違ない。第二に、神代剣が執事=「じいや」に代わり商店街に買物に出かけた際、肉屋で全てを買い占めようとした件について。ここでは神代剣は、家計のことや「じいや」のことを配慮できる程には冷静ではなかった。商店街で買物など彼はやったこともない。何をどうすればよいのか分からない中で、貴公子らしく王者らしく堂々振る舞うためには「全て買い占める!家に届けよ!」とでも云うしかなかったのだ。今朝の冒頭、彼に対し天道総司水嶋ヒロ)が「頭を冷せ!」と忠告したのは伏線でもあったと云えるかもしれない。神代剣は内心は「じいや」の苦労を思いやり、家計を心配してはいるはずなのだが、そうした優しさを表現するだけの豊かな経験とクールな知性を未だ充分には持ち合わせてはいないのだ。
ZECT田所軍団の田所修一(山口祥行)と岬祐月(永田杏奈)、加賀美新佐藤祐基)が、この頃の新聞を賑わしている宝石泥棒「怪盗シャドウ」の正体ではないか?との疑惑はZECT本部の本庁内に広まっていたようだ。ZECT直轄の精鋭部隊「シャドウ」の指導者、影山瞬内山眞人)は、彼自身も犯罪に近いことをやっていたのを忘れたかのように「ZECTに犯罪者がいるとなると放ってはおけない」と加賀美相手に言い放った。「第一、シャドウの名を騙るのが許せない」と付け加えるのも忘れなかった。動揺しつつも彼に同意した加賀美に対する「まあ、いい。何れ真実が判るさ」という彼の言は、彼がそもそも加賀美をも疑っていたことを物語っていよう。かわいい顔して怖い男。他方、この件についてZECT幹部の三島正人(弓削智久)がZECTの長でもある警視総監の加賀美陸本田博太郎)に報告したところ、加賀美警視総監は何時も以上に深刻な、真剣な表情になり、何時もの粘りある口調で一言「一寸びっくり」。視聴者こそ「びっくり」だろう。そして、「ご子息」が盗賊の一味であるとの噂が本当であれば「ご子息」といえども然るべく処罰されなければならないのではないかと伺いを立てる三島に、加賀美警視総監は険しい表情のまま、「Bomb!モウ…キョウ(梵網経)だったかな?獅子身中の虫!という言葉が出てくるのは…。ウン!」と応じて許可を与えつつ、「しかしビックリ」と繰り返した。今朝一番の傑作な場面だった。