弁護士のくず第十話

TBS系ドラマ「弁護士のくず」。井浦秀夫原作(小学館コミック「ビッグコミックオリジナル」連載中)。荒井修子脚本。主題歌=hitomi「GO MY WAY」(LOVE LIFE RECORDS)。梅堀淳音楽。本山信二郎(総合法律事務所あおぞら)法律監修。貴島誠一郎&橋本孝&川西琢プロデュース。ドリマックステレビジョン&TBS製作。酒井聖博演出。第十話。
私的には今宵の第十話がこれまでの十話中で最も面白かったと思う。弁護士のクズこと九頭元人(豊川悦司)の弁論は何時も通り鮮やかだったが、今回ばかりは武田真実(伊藤英明)の論証も冴えていた。しかし何よりも興味深かったのは証言者(脇知弘)の証言の奇妙な捩れという問題だ。事件の現場において彼が目撃したのは、岡部省吾(塩谷瞬)と赤地杏里(酒井彩名)の男女二人が名門大学生の木原(安居剣一郎)率いる三人組に取り囲まれていて、今にも暴行され強盗され強姦されかねない危険な状況だった。決してその逆ではなかった。それなのに証言者は岡部の側の攻撃のみを語り、木原の側の攻撃を語らなかった。庇ったわけではない。三人組が岡部一人に殴り倒され打ちのめされたという衝撃の結果に左右されてその原因を逆転させ、云わば記憶を書き換えてしまっていたのだ。捩れを解き解すためには武田弁護士の適切な導きが必要だった。