渡る世間は鬼ばかり第二十四回

TBS系。「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。作:橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。プロデューサー:石井ふく子。演出:山崎統司。第八部第二十四回。
七月中旬から先週までの約二ヶ月間にわたり裏番組「下北サンデーズ」を見ていたので十話分を見逃した。その間には色々激動があったようだが、今宵の一話を見てゆく内に次第に物語の流れが見えてきたあたり、台詞も説明も高密度のこのドラマの特性が表れている。
それにしても、小島久子(沢田雅美)が山下健治(岸田敏志)に云い寄って山下光子(奥貫薫)をやがて追い出そうと考えていることが明らかになったり、本間長子(藤田朋子)の「痛い」人間性がさらに磐石に化していたり、大阪では神林常子(京唄子)の本間病院が大変な危機に直面していたりして実に驚異的な激動の数々だ。そうした中で際立ったのは小島勇(角野卓造)の快楽主義。食餌療法なんか一週間も二週間も続けていれば慣れて苦にならなくなるものだろうが、小島勇は馴れようともしない。快楽への強欲を物語る。
終わり近くの数分間、野田弥生(長山藍子)が一人芝居を見せた。話し相手は電話の向こう側にいて、その声は視聴者には聞こえないし、電話の合間には独り言。この数分間の一人芝居には見応えがあったと思う。