旅行記

出張の三日目。朝八時にホテルから外出。九時から仕事。十時五十分頃から二つ目の仕事。十一時半頃から時間の余裕が生じたので京都国立近代美術館で開催中の「若冲と江戸絵画展」を鑑賞。既に八月に東京国立博物館で見たのと同じ内容でも、会場が違うと印象が全く違っていて面白かった。東京では一部作品について照明を刻々と変化させてその見え方の変化を楽しませる展示を試みていたが、ここ京都では一階の広間のガラス窓を全て障子で覆い、その脇に掛軸を吊るしてあって日本絵画の本来の見え方を文字通り自然な形で再現してみせている。だから今日のように曇天、雨天の日だと障子から漏れ入る光が余りにも暗く、優美な花鳥画の色彩も地味に沈んで見える。というよりも殆ど見えない。晴天の日に来るか曇天の日に来るかの差で見え方にも差が出てくるわけだから、運悪く悪天候の日に来た観衆の中には文句を云う者もいるだろうことも想像されるが、試みとしては非常に興味深いと思った。館を出て近辺の店に入り湯豆腐で昼食。二時からの仕事は夕方五時頃に完了。六時頃にホテルへ戻り、七時から十時までホテルの食堂で五人で会合。